英国のエリザベス2世の在位期間が9月9日に英国最長記録を更新した。1952年2月6日に即位してから63年7カ月となり、ビクトリア女王の在位期間2万3,226日16時間23分を上回った。これに合わせて、英国のブランド評価および戦略コンサルティング企業「Brand Finance」が英国王室の“企業価値”を発表している。


3年間で2兆円ほど価値が向上

ロイヤルファミリーの人気は健在だ。歴史に残る偉業を成し遂げたエリザベス女王を筆頭に、その人気は歴史的に見てもピークに近い。英国経済に対する王室の貢献は、主に観光客の集客、王室御用達ブランドがもたらす価格プレミアム、そして王室財産から得られる利益の剰余金などからなる。

Brand Finance社によると、2012年のエリザベス女王即位60周年の時点では、王室の価値は440億ポンド(約8兆1,500億円)を上回ると試算された。それが今回の在位最長記録更新により、その価値は史上最高の570億ポンド(約10兆5,600億円)弱にまで高まったと見込む。さらに会計の考え方を用いて王室の経済貢献が永遠に継続する場合の価値を「正味現在価値」に直すと、現時点での金額にして367億ポンド(約6兆8,000億円)が加算される。

しかし、この“王室企業“で発生する費用も忘れてはならないと同社は指摘する。宮殿の警備や維持なども含め公務の支援として政府から支払われるソブリン・グラントなどの費用を相殺すると、その経済貢献は最終的に2015年で11億5,500万ポンド(約2,140億円)程度に落ち着くという。


「王室御用達」は価格プレミアムを可能にする

「所有する資産からのリターンを最大限に高められるよう組織を支援するのがミッションだ」と語るBrand Finance社。これから王室の価値向上に取り組んでいきたいとのことだ。

たとえば「王室御用達」はぜいたく品や食品、スポーツグッズ、ファッション業界などのブランドにとってかなりの価格プレミアムが実現可能となるが、王室にとってコストはかからないと提案している。

またシャーロット王女やジョージ王子、キャサリン妃の身の回り品などの宣伝効果には、年間で数億円にも達する大きな経済的効果があるという。その他の王室メンバーの関連需要もとどまるところを知らない。これらはいずれも大きな機会となると見込んでいる。

同社は発表の終わりに、王室を収益化しようとすることを不謹慎に思う人々がいるかもしれないが、英国内で緊縮財政が続く中でロイヤルファミリーへかかる「稼ぎ手」としてのプレッシャーは今後高まるだろうと予測している。(ZUU online 編集部)

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