570億円追徴課税された企業

「移転価格税制」も企業の大きな課題である。移転価格税制とは海外子会社などとの取引の価格決めが適正かどうかを測り、不適正と考えられる場合に追徴課税を受けるものだ。例えば、武田薬品工業 <4502> が約570億円追徴課税された。同社はこれを不服として大阪国税局を相手に訴訟を起こしている。

一定の規模の企業は今後、国際取引情報を各国税務当局に提出することが義務付けられた。このため、より厳しく見られていくことが予想される。例えば、低税率国で事業を行っていることで実効税率が低くなっている企業などについては、場合によっては税負担が増えることもあるだろう。

リスク管理の有無が将来の業績に差を生む。移転価格税制の対応状況は開示情報には載ってこないが、大きなトレンドであり、ニュースにアンテナを張っておきたい。

3485社。2015年9月末時点で日本取引所グループの株式市場に上場している会社の数だ。情報は複合的に勘案してはじめて意味を持ってくる。ここでは人材情報、会計基準、国際税務という論点からの見方を示している。優良企業への投資判断時に是非参考にしていただきたい。

新井 良平
経理ライター。中小企業から上場企業まで規模を問わず経理や税務を経験。日々の経理処理から開示業務、IFRS、内部統制、経営分析、税務申告、移転価格など幅広い経験を基に複数メディアで記事を執筆。

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