(写真=PIXTA)
◆中国国家統計局は10月19日、7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。経済成長率は実質で前年同期比6.9%増と4-6月期の同7.0%増を下回り、経済成長が引き続き鈍化傾向にあることが明らかとなった。生産面から見ると第2次産業の不振が目立つ一方、第3次産業は堅調だった。また、需要面から見ると消費は堅調なものの投資の伸び鈍化が鮮明となった。
◆最近の景気10指標を見てもほぼ同様の動きを示しており、中国経済を総括すると経済構造の変化に伴ってふたつの二極化が同時進行していることがわかる。ひとつは"第2次産業の伸び鈍化"と"第3次産業の堅調(横ばい)"という二極化で、もうひとつは"投資の伸び鈍化"と"消費の堅調(横ばい)"という二極化である。
◆ふたつの二極化が同時進行する中で日本企業への影響も二極化してきている。第2次産業の生産が落ち込んだことを受けて、鉱物資源の"爆買い"は影を潜め、工業部門で使う化学素材や部品などの需要も減って、それらを輸出していた日本企業の業績にも影響している。
一方、消費の堅調を背景に、中国では食品・酒類や美容化粧スキンケア品などの輸入が急増、中国本土からの旅行者による"爆買い"も続いており、これらの輸出やインバウンド消費で恩恵を受ける日本企業が増えている。
◆このふたつの二極化は、その背景に経済の構造的な変化があることから、一過性のものではなく今後も長く続くことになるだろう。また、消費の中身自体も店頭販売からネット販売へのシフトが起きており、投資の中身も製造業や住宅建設から環境対応や地下開発へのシフトが起きている。
従って、今後の中国ビジネスを考える上では、経済成長率といった全体の動きだけを見るのではなく、経済構造の大きな潮流の変化に注目することが肝要と思われる。