最近の景気10指標の動き
◆中国経済の生産面を見る3指標
【1】工業生産
中国経済を見る上で最も重要な指標は工業生産(実質付加価値ベース、一定規模以上)である。9月の工業生産は前年同月比5.7%増と8月の同6.1%増を0.4ポイント下回った。直近のボトムである3月の同5.6%増はまだ若干上回っているものの、6月の同6.8%増をピークに再び伸びが鈍化してきた(図表-4)。特に、鉱業、電力・エネルギー生産供給、自動車製造の伸びの鈍化が目立ってきている。
【2】製造業PMI
生産面を見る上では製造業PMI(中国国家統計局)も重要な指標となる。これは製造業3000社の購買担当者に対し毎月実施されるアンケート調査の結果を元に計算されるもので、通常は50%が景気強弱の分岐点とされる。9月の製造業PMIは49.8%と、2ヵ月連続で50%を下回っており、景気失速の懸念が浮上している(図表-5)。
但し、同時に発表された予想指数は53.9%と、6月の52.2%をボトムに上昇傾向にあることから、今年1月のように将来を悲観しているという訳ではないようだ(図表-6)。
【3】非製造業PMI(商務活動指数)
一方、中国では製造業からサービス業への構造転換が進行中なため、製造業だけを見ていたのでは構造変化に翻弄される恐れがある。そこで注目したいのが非製造業PMI(商務活動指数)である。製造業PMIと同様に50%が景気強弱の分岐点とされる。
9月の非製造業PMIは53.4%と、50%を上回る高水準にある。但し、建築業の指数が低下してきたのに加えて、株価の下落を受けて証券業などにも陰りが見られるので、楽観し過ぎてはいけないだろう(図表-5)。