7-9月期のGDP
中国国家統計局は10月19日、今年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。経済成長率は実質で前年同期比6.9%増と4-6月期の同7.0%増を0.1ポイント下回り、経済成長が引き続き鈍化傾向にあることを示す結果となった(図表-1)。
生産面から見ると、第2次産業の不振が目立ち、工業部門は4-6月期の前年同期比6.0%増から7-9月期には同5.8%増へと伸びが鈍化、建築業も同5.9%増から同5.8%増へ鈍化し、成長率を押し下げる要因となった。
一方、第3次産業は堅調で、4-6月期の前年同期比8.5%増から7-9月期は同8.6%増へと0.1ポイント上昇、成長率を下支えする要因となった。第3次産業の中では、卸小売業が同5.9%増から同6.1%増へ、宿泊飲食業も同5.8%増から同6.5%増へと伸びが加速するなど消費関連では改善が見られた。
また株価下落の逆風下で金融業は同19.2%増から同16.1%増へ大幅に減速したものの高い伸びを維持、住宅価格が底打ちした不動産業も同4.5%増から同4.9%増へと小幅に改善している(図表-2)。
需要面から見ると、消費は堅調なものの投資の伸び鈍化が鮮明となっている。中国のGDP統計では需要面の情報開示は極めて少ないが、1月からの年度累計ベースでの寄与度と寄与率が随時明らかにされる。
投資の動向を表す総資本形成の寄与度を見ると、2013年には4.2ポイント、14年には3.4ポイント、そして今年1-9月期には3.0ポイントと、年々低下してきており、成長率を押し下げる要因となっている。
一方、もうひとつの柱である消費の動向を表す最終消費は、2013年には3.7ポイント、14年には3.8ポイント、そして今年1-9月期には4.0ポイントと、年々上昇してきており、成長率を下支えする要因となっている。そして、昨年に続いて今年1-9月期も最終消費の寄与度が総資本形成を上回っており、その差は1.0ポイントまで拡大した。