◆中国経済の需要面を見る3指標
【4】小売売上高
一方、需要面の動きを見ておくことも重要である。個人消費の動きを見る上で代表的な指標となるのが小売売上高である。9月の小売売上高は前年同月比10.9%増と8月の同10.8%増を上回り、4月をボトムに緩やかながら回復傾向を示している。価格要因を除いた実質でも、9月は同10.8%増と8月の同10.4%増を大きく上回っており、個人消費は上向きつつあるといえそうである(図表-7)。
【5】固定資産投資
投資の動きを見る上で代表的な指標となるのが固定資産投資(除く農家の投資)である。固定資産投資は毎月発表されるものの、1月からの年度累計での公表であるため、時系列の動きは読み取り難い。そこで、当研究所で単月に直したのが図表-8である。
9月は前年同月比5.4%増(推定(*1))と6月の同11.4%増をピークに3ヵ月連続で低下し減速感が強まっている。卸小売業など消費サービス関連や環境インフラ関連では高い伸びを維持しているものの、製造業や不動産業の伸び鈍化が著しい。
【6】輸出金額
世界の工場といわれる中国では輸出の動きも景気を大きく左右する。9月の輸出金額(ドルベース)は前年同月比3.7%減と、8月の同5.5%減よりはマイナス幅を縮めたものの前年割れで、1-9月期累計では前年同期比1.9%減となっている(図表-9)。
特に欧州(EU)向けや日本向けの落ち込みが目立つ。先行指標となる新規輸出受注(製造業PMI)を見ても12ヵ月連続で50%を下回っており、先行きにも明るさは見えてこない。