業務の一部が米大手銀行ウェルズ・ファーゴに買収されることが決まったクレディ・スイス。アドバイザーの争奪戦が大手企業間で繰り広げられている中、モルガン・スタンレーがトップブローカー3人の確保に成功したと見られることが報道された。


クレディの3倍の報酬を提示

クレディ・スイスは10月、米国でのプライベート・バンキング業務をファーゴの傘下にあるウェルズ・ファーゴ・アドバイザーズへ売却することを発表。この統合話に便乗するかたちで、ファーゴはクレディに在籍していた優秀な人材の獲得に乗り出した。

多数のアドバイザーがクレディからファーゴへ移籍することが予測されるが、買収契約にはアドバイザーの確保は含まれていないため、ファーゴは年間手数料と仲介料がクレディの3倍という太っ腹な契約条件を提示。トップ・ブローカーの引抜きに力を入れていた。

しかし総額50億ドル(約612億8250万円)の資産運用経験があるクレディのトップブローカー3人は、メリル・リンチやUBSグループなど並みいる大手からのスカウトを受けており、最終的にモルガン・スタンレーを移籍先として選んだ。


高知名度、高報酬なパッケージに流れるブローカー達

モルガンへの移籍が決定したリチャード・ジンマン氏達は、1998年にクレディに入社。それ以前は米投資銀行スミス・バーニー(97年にソロモン・ブラザースを買収後、ソロモン・スミス・バーニーに改名)で腕を磨いたベテランチームだ。

移籍後はマネージング・ディレクターやエグゼクティブ・ディレクターとして、モルガンのニューヨーク本社に勤務予定が決まっている。

関係者の話によると、ジンマン氏らがモルガンを選んだ理由は、特定取引慣行という点で確立されているうえに、より魅力的な移籍パッケージをオファーされたからだという。

そのほかUBSグループも既に16人のクレディ・アドバイザーを確保しており、そのうち3人は運用資産総額32億ドルのヤリ手ブローカーだ。

クレディのアドバイザー争奪戦はまだ続きそうな気配だが、組織としての知名度や規模に加え、報酬という面でも最も高待遇で迎えられる準備が整っている企業に、勝利の旗があがりそうだ。 (ZUU online 編集部)

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