ビル・グロス氏は来年2016年の投資戦略について、不安定で見通しがハッキリとしない世界経済を理由に、あくまで守りの姿勢に徹すると宣言。欧州中央銀行(ECB)を「無限のチップを換金しないカジノ」と形容している。


グロス氏「ECBは負け勝負の掛け金を上乗せするギャンブラー」

以前から世界経済の「低金利傾向」に警告の鐘を鳴らしていたグロス氏は、自らがチーフ・インベストメント・マネージャーを務める米ジャナス・キャピタル・グループの顧客に宛てた会報の中で、「2016年はリスクを極力抑えた投資」を実践することを明らかにした。同時にECBのマイナス金利政策への強い反発も露にしている。

追加緩和で世界経済の活発化を狙う欧州中央銀行(ECB)の動きは紙幣を乱発するに等しく、「負け勝負を取り戻そうと賭け金を上乗せするギャンブラーのようなものだ」と手厳しく批判。古くはドイツのヴァイマル共和政、最近ではベネズエラやジンバブエのインフレを例に挙げている。

「無制限にチップを積めば、いつかは賭けに勝つに決まっている。それがECBの考えだ」


低リスク、低投資、堅固なリターンでスランプ脱出を図る2016年

しかし現実の世界には無限に生みだされるチップも紙幣も存在しない。チップを使い果たす前に撤退したとしても、やがて衰退し幕が下される時が訪れるだろう。

グロス氏が繰り返し伝えようとしているのは、長期的な解決策を投じない限りは負の連鎖から抜け出すことが出来ず、「やがて株価や債券価格が頭打ちし、投資家達を困惑させることになる」という一点だ。

こうした先行きの不安定な政策から生まれるであろう揺り戻しを乗り越える手段として、来年は大きなリターンの後を追わず、「信用リスクは低めに投資額を抑え、顧客に着実にリターンをもたらす」投資戦略に徹するグロス氏は、今年見せた「債券王のスランプ」から見事脱出できるのだろうか (ZUU online 編集部)

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