保険商品関係の規制を巡るここ数年の動き

ここ数年、不適正な販売を抑制することで、保険契約者保護を図り、より一層の生命保険市場の健全な発展を目指していくために、IRDAIによって、保険商品の給付内容等の条件や契約関係の手数料の上限規制の見直し等が行われてきている。以下で、個人保険商品についての、改正内容の一部を紹介する。

◆ユニット・リンク保険商品(ULIPs)に対する規制の改正

2010年6月に発行された通達(Circular)によって、ユニット・リンク保険商品(Unit-Linked Insurance Products:ULIPs)に対して、例えば、以下の規制改正が行われた。

・追加保険料を含む全てのユニット・リンク保険商品のロック・イン期間を3年から5年に延長

・全ての手数料をロック・イン期間に等しく配分

・保険料払込期間は、(一時払を除いて)最低5年、保険料払込期間中の保険料は一定

・以下の最低保険金額(死亡保障または最低医療保障)が付与されなければならない。

最低死亡保障は、(a)一時払商品の場合、保険料の125%(45歳4未満)、110%(45歳以上)(b)平準払商品の場合、①年換算保険料の10倍(45歳未満)、7倍(45歳以上)、②年換算保険料×保険期間×0.5(45歳未満)、0.25(45歳以上)(※終身保険の場合の保険期間は70-加入年齢)、③既払保険料の105%、の最も大きい金額

最低医療保障は、(c)医療平準払商品の場合、①年換算保険料の5倍、②100,000ルピー(45歳未満)、75,000ルピー(45歳以上)、③既払保険料の105%、の最も大きい金額・総投資利回り(GrossYield)とネット利回り(NetYield)の差異に関する上限設定(第5保険年度以降及び満期時)

これらの改正によって、総投資利回りと、手数料等が差し引かれた後のネット利回りとの違いが明確化され、透明化が図られるとともに、その差額としての手数料の引き下げが行われることになった。

さらには、こうした規制要件を満たすために、保険会社は、より長期のプランを提供することが求められることになり、ユニット・リンク保険商品の保障部分がより強調されていくことになった。

◆変額保険商品(VIPs)に対する規制の改正

2010年11月に発行されたガイドライン(Guideline)によって、インドでは変額保険商品(Variable Insurance Products:VIPs)と称されているユニバーサル生命商品に対して、ユニット・リンク保険と同様に、例えば、以下の規制改正が行われた。

・ノン・リンク保険商品のプラットフォームで提供されなければならない。

・死亡時には、保険金額プラス契約勘定残高が、満期時には契約勘定残高プラス消滅時配当が支払われる。契約勘定は、手数料控除後の保険料に対して、クレジットされ、この勘定残高に対して、保証利率や配当が適用される。

・死亡保障のみを有し、最低保険金額は年換算保険料の10倍・コミッション水準と予定事業費に関する上限の設定

◆リンク保険商品に対する規制の改正

2013年2月に発効した「IRDA (Linked Insurance Products) Regulations,2013」により、リンク保険商品に対して、例えば、以下の規制改正が行われた。

・リンク保険商品は、ユニット・リンク保険商品または変額保険商品によって提供される。

・保険料払込期間は最低5年、保険料払込期間中の保険料は一定

・以下の最低保険金額が付与されなければならない。

(a)一時払商品の場合、保険料の125%(45歳未満)、110%(45歳以上)
(b)平準払商品の場合、①年換算保険料の10倍(45歳未満)、7倍(45歳以上)、②年換算保険料×保険期間×0.5(45歳未満)、0.25(45歳以上)、のいずれか大きい金額
(c)医療平準払商品の場合、①年換算保険料の5倍、②100,000ルピー、のいずれか大きい金額

・コミッション水準の上限改定なお、保険会社は、IRDAIに対して、投資保証を提供する商品に課せられる保証手数料に関する総合的な情報を提供しなければならなくなった。

さらには、満期時における総投資利回りとネット利回りの差異に関する上限規定への遵守を、商品のファイリング時に、6つの異なる総投資利回り前提を使用して示す、ことが求められることとなった。