連続増配という点から見て注目したいのがP&Gだ。このP&Gはなんと59年間、連続増配を行っている。P&Gはオハイオ州に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーだ。衣料用洗剤「アリエール」やエアケアの「ファブリーズ」、乳児用紙おむつ「パンパース」といった製品名を、多くの人が一度は聞いた事があるだろう。
このほか、エマソン・エレクトリックも挙げておこう。同社は58年連続して増配を行っており、長期投資家には注目の的となるのではないだろうか。ミズーリ州セントルイスに本拠を置く世界有数の多国籍企業で、冷凍空調制御事業やプロセス・マネジメント事業など数多くの事業を手掛けており、世界150ヵ国以上で事業を展開している。
こうした長期間にわたって連続増配を行う企業の株価は、長期的に見れば上昇する傾向にある。実際、P&Gの株価を見ると、10年前が60ドル前後だったのに対し、現在は80ドル前後で推移している。配当増額は株主重視の姿勢にもなるため、それが株価にも反映されているといえる。
それでは日本の増配企業はどうだろうか。実は、過去25年以上増配というS&P500配当貴族指数と同様の条件に該当する上場企業は1社しかない。それは花王だ。
花王は言わずと知れた大手化学メーカーで、洗剤や化粧品などの製造を手掛けている。日米いずれにおいても、配当をしっかり出し続ける企業は、普段から必要とする日常生活品の製造販売を手掛ける企業が多い。こうした企業の製品は、利用者に浸透すれば日々使い続けることになるからだろう。それが企業の売り上げ増加にもつながり、ひいては増配につながっていると推測できる。
日本ではS&P500配当貴族指数の要件に該当する企業が花王しかないことを考慮すると、米国の方が株主重視の姿勢が強いという見方もできるのではないだろうか。ただし、最近ではこうした動きは日本でも強くなってきている。そのため、投資を行う際の一つの目安として、未来の連続増配企業を探すべく、配当性向に注目してみてはいかがだろうか。配当性向とは、企業が当期純利益に対して、どのぐらいの割合を配当に回しているかをパーセンテージで示すものだ。すなわち、この割合が高ければ株主重視の姿勢が強いとも見て取れる。
配当性向が高ければ必ずしも良いというわけではないものの、その企業が株主に対する想いが強いかどうかは推測できる。日本の上場企業の配当性向の平均は、30%弱とされている。もっとも望ましいのは配当性向が比較的高く、利益をしっかり出し続けている企業だろう。こうした企業は、株価も堅調なケースが多いといえる。
今後、米国のような25年以上連続増配という企業は、日本でも多く出てくることになるかもしれない。そうした流れからいえば、今のうちに米国の連続配当銘柄の特徴を分析することで日本株投資でも活かせるポイントを見つけてみてはいかがだろうか。(提供: 大和ネクスト銀行 )
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