2016年は、年初に中国の株価指数が大幅安したことを受け、初めてサーキットブレーカー (相場が過熱した際に取引を停止する制度) が発動するなど、世界同時株安に見舞われた。6月のイギリス国民投票でEU離脱が決まったり、11月アメリカ大統領選挙では円高株安から一夜にして急激な上昇に反転したりと、資産運用の判断が難しい1年だった。
大統領選挙後からドル高・株高・金利高のいわゆる「トランプラリー」が続いているが、2017年も経済イベントの結果次第では大きくマーケットが動くことが予想される。2017年の経済イベントを確認して投資のタイミングを探ってみよう。
2017年の経済イベントを確認
世界経済に影響を与える可能性がある2017年のイベントを整理しておこう。
● 1月:ドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任
2016年11月に大統領選挙を勝利したドナルド・トランプ氏が1月20日、アメリカ大統領に就任。
● 3月:オランダ総選挙
移民排斥や反イスラムを掲げる自由党 (PVV) への支持が高まっている。党首のウィルダース氏は、EU離脱を問う国民選挙の開催を主張しているが、他党の協力を取り付けるのは難しく、自由党単独政権となる可能性は低いといわれている。
● 3月:アメリカ債務上限の期限切れ
2015年に債務不履行 (デフォルト) のリスクが高まり、期限付きの債務上限の引き上げを実施した。その期限が2017年3月15日までとされている。
● 4〜5月:フランス大統領選挙
4〜5月にフランス大統領選挙が行われる予定だが、失業率の高止まりなどにより支持率が低迷しているオランド大統領は、再選を目指さないことを発表している。反移民を掲げる極右政党の国民戦線 (FN) のマリーヌ・ル・ペン氏もEU離脱を主張しており、中道右派・共和党のフランソワ・フィヨン氏と争うことになる見通しだ。
● 7月:G20サミット
中国・杭州で行われた2016年のG20サミットでは、世界経済の持続的な成長のために、質の高いインフラ投資など「財政政策を機動的に実施する」と首脳宣言を採択して閉幕した。トランプ氏の拡張的な政策をはじめ、世界各国が財政政策に前向きになるなか、どのような国際協調がなされるか注目される。
● 秋:ドイツ連邦議会選挙
シリア難民の積極的受け入れを表明したメルケル首相は支持率を落としているものの、現時点では党首として率いるキリスト教民主同盟 (CDU) 第一党を維持するとみられている。しかし、難民の受け入れに反対する「ドイツのための選択肢 (AfD) 」が支持を伸ばしていることもあり、EUの盟主ドイツの政治体制に不安が広がれば、マーケットが動揺する可能性もある。
● 通年:連邦公開市場委員会 (FOMC) 開催
連邦公開市場委員会は年8回開催され、段階的な利上げが予想されている。また、夏頃にはイエレンFRB議長が再任するか否かが判明する予定だ。
金融市場へ影響は
まず注目すべきは世界最大の経済大国であり軍事大国でもあるアメリカの大統領に就任したトランプ大統領の動向だ。金融市場やビジネス界にとって心地よい政策を掲げる一方、過激な発言が飛び出すこともあり、良くも悪くもトランプ氏の言動に振り回される展開が予想される。大統領選挙後から続くトランプラリーの巻き戻しにも注意が必要だ。
欧州の政治も見逃せない。2017年はオランダ、フランス、ドイツといったEU主要国で選挙が行われる。その選挙結果はEUの未来を左右することになるかもしれない。EU離脱や移民排斥を主張する党が政権を取ったり、そこまでいかなくとも議席数を伸ばしたりすることがあれば、EUの結束が崩れ、欧州は景気低迷に陥る可能性も否めない。
経済イベントを把握して資産運用を
2016年は振り返ると資産価格の変動幅 (ボラティリティ) が大きな1年であった。2017年も同様の展開を予想する声も多い。リスク資産を購入する際は、購入時期や地域を分散する「時間分散・地域分散」を心がけた運用を行いたい。
日程がおおよそ確定しているイベントであれば結果がどちらに転んでもいいように、資産運用のシナリオを準備しておくことができる。事前にわかっている経済イベントを把握して効果的な投資をしよう。 (提供: 大和ネクスト銀行 )
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