ここ数年、政府の「働き方改革」に伴って、「ワーク・ライフ・バランス」という考え方がより注目されるようになってきた。多様化が進む働き方の中には、企業に属さないフリーランスや個人事業主という働き方も増えてきている。このような働き方の増加は、会社員であれば会社が担保していた信用を、個人でも築き上げる必要性を高めている。そこで今回は、これからの「個人の信用とは何か」ということを考えてみたい。

働き方が多様化するということ

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(写真=Khakimullin Aleksandr / shutterstock.com)

ワーク・ライフ・バランスの定義については、政府や各種団体が見解を示しているが、実は統一された定義はない。主に「仕事と生活の調和」と訳されることが多い。今回は政府が示している見解を要約して「ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と私生活が共に充実できている生活スタイルの状態」と定義して考えてみたい。

政府の見解から考えると、ワーク・ライフ・バランスにおけるバランスとは時間の配分ではなく、あくまで仕事で得られる充実感と私生活での充実感のバランスが良いという主観的な認識を示す。したがってワーク・ライフ・バランスを最適化するための働き方は人によってさまざまである。

例えば会社員の場合を考えてみよう。会社員の働き方も随分変わってきている。出社時間や退社時間を限定するのではなく、自分で時間を決めて働くケースもある。例えば自宅にいながらテレワークで業務を進める事も可能だ。グループウェアやオンラインミーティングシステム、グループチャットを利用できる環境があれば、世界中のどこにいても同じ会社の人や取引先の人と繋がりが持て、コミュニケーションを図ることができる。複業や副業を行う人が増えたのも、このようなどこにいても仕事が円滑に進められる仕組みが整いつつあるからだろう。

客観的な個人の信用だけではなく、会社の看板以外の個人としての実績が大切になる

シェアオフィス、テレワーク、在宅ワークなど自分の会社以外の場所で業務を行えることは、さまざまな利点がある。ある人にとっては育児、介護などと両立することができる。また、ある人にとっては他人の目を気にすることなしに円滑に業務を進めることができるだろう。自分の業務に裁量を持ち、働き方や進め方を自分で自由に確保できるのが利点だ。一方で、自分を律して責任を持って業務を遂行する必要がある。

このような中、今後はより個人の信用が大事となってくるだろう。一般的に個人の信用といえば、その人の学歴、所属する会社、年収、ローンなどの融資の限度額などを思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、今後は客観的な見方ではなく、その人の人柄やスキルなどが信用に結びつく可能性が高くなる。

例えば、この人に仕事を任せたらうまくいくのか、この人と一緒に取り組むことで相乗効果を得られるかといった信用だ。そういった信用が高くなればなるほど、周囲の人から重宝され、新たな収入の源泉になるかもしれない。どこどこの会社に属する誰それではなく、自分自身がブランドとなり、そのブランドをどれだけ輝かせるのかも自分自身に帰属する。

個人の信用を高めておくことが大事

先述のように、ワーク・ライフ・バランスをより良くするために働き方が多様化する中で、企業に属さない働き方を選ぶ人もいれば、テレワークや在宅ワークを選ぶ人もいるだろう。それに伴い、個人の信用を高めることの重要性もますます高まっていくはずだ。

現在は企業に属している人でも、会社都合や家庭の事情、あるいはより自分の能力を活かすためといった理由でフリーランスになったり、在宅勤務をすることになるかもしれない。その時に備えて、今から個人の信用を高めておくことが重要だと言える。(提供:大和ネクスト銀行


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