2019年5月1日に元号が変わる。2019年4月30日に天皇陛下が退位され、翌日5月1日に皇太子さまが新天皇に即位されることが決まった。
私たちの生活に大きな影響を及ぼす出来事には投資のヒントが隠されている場合が意外と多い。2019年5月1日に行われる新元号への変更で、どのような業界に投資チャンスがあるのだろうか。今後、退位に向けた準備が本格化していく中で、関連業界の動向に注目したい。
昭和から平成に改元されたときを振り返る
1989年1月8日に昭和から平成に改元されて、すでに30年近い月日が経つ。昭和天皇の崩御による改元だったため、新元号に即日改元された。しかし、今回は崩御を伴わない生前退位になる。国民への周知期間や国民生活への影響を考慮して、政府は新元号を事前に公表したいと考えていることが報道されているため、昭和の時に比べれば変更による特需は限定的とは考えられるが、それでも少なからずは特需が発生する可能性はある。元号の事前発表が2019年5月1日に近ければ近いほど、新元号への変更特需が注目されてくる可能性が高いと考えられる。
昭和から平成に即日改元された時には、郵便の消印や新聞の日付、鉄道会社の券売機など、元号を利用していた官公庁や自治体、企業ではコンピューターシステムの改修などの対応に追われた。以下で具体的にどのような業界に追い風が吹いたのかを見ていこう。
(1) 印刷関連……紙幣、印刷物の切り替え
新元号に変わるたびに紙幣や貨幣、印刷物といった元号を使用する物のすべてを切り替える必要が出てくるため、印刷関連業への思惑が発生する可能性は高い。
(2) 硬貨・紙幣処理関連……紙幣や効果のデザイン変更による読み取り機械
また改元をきっかけに紙幣や硬貨のデザインが変更される可能性もあるため、それを読み取る機械関連にも注目が集まる可能性が考えられる。
(3) システム関連……元号管理や表示の改修対応
官公庁や金融機関など元号で管理や表示を行っている組織はコンピューターシステムの改修も必要になるだろうから、システム関連にも注目が集まる可能性が考えられる。
以上は影響が過去実際に起こった改元を迎えるにあたって注目されやすい”セオリー”とも言える業界をご紹介した。
投資は連想ゲーム ? 起こり得る出来事から業界を考えてみる
以下では実際に起こりそうな出来事を挙げ、影響がありそうな業界を考えてみたい。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがある。一見何の関係もなさそうに見える出来事が、めぐりめぐって回ってくるというサイクルが発生することによって、結果的に相場の上昇や下落につながっているという意味で、このことわざと近いかもしれない。
このような連想ゲームとして起こり得る出来事を2つあげ、影響がありそうな業界をご紹介しよう。
(1) 2019年のGW、政府が10連休を検討
政府は天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位に向け、国民のお祝いムードを盛り上げるためにゴールデンウイークを10連休にする方向で検討していることが報じられている。長期休暇を取る人が増えれば、旅行業界やレジャー業界への影響が考えられるだろう。
(2) 新元号に合わせて”新しい何か”をスタート
新元号がスタートすることで新しく何かを始めたいと思う人もいるだろう。その”新しい何か”は、習い事やダイエット、貯蓄、もしかしたら結婚という人もいるかもしれない。そういった気運が盛り上がれば、一般企業がキャンペーンを実施して消費が増える可能性があるだろう。
上記はあくまで例であるが、アンテナを張っておき「これは大きな社会現象になるかもしれない」といったムーブメントの初動を見つけ関連銘柄を購入し、値上がり益を狙うのも投資の醍醐味ではないだろうか。
投資のチャンスは身近なところに存在する
新元号への変更という出来事一つを見ても、様々な業界に影響を及ぼす。同じように、私たちが普段何気なく見聞きしている身近な出来事が、投資のヒントにつながっていることは少なくない。
私たちの普段の生活の中に「どのような投資ヒントが隠れているのだろうか」といった視点で注意してみると、これまで当たり前だった生活が違ったように見えてくるだろう。その出来事が投資にどのような影響を及ぼすのかといった視点で日々の生活を過ごし、情報収集の感度を高めてみてはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行)
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