円普通預金金利の多くは、0.001% (税引前、以下同じ) であるのに対し、米ドルなどの外貨普通預金の金利は数百倍、数千倍の水準も珍しくない。金利の高さは魅力だが、外貨預金には「リスクに対する勘違い」も多い。これから外貨預金を始めようと思っている方は投資前に確認しておこう。

勘違い1 「預金」だから元本割れの可能性は無い

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(写真=klikkipetra / Shutterstock.com)

外貨預金で、考えたいのが為替変動リスク。預入れ時に円で外貨を買い付け、引出時に外貨を売却して円に戻す場合、換金時に利用する為替レートは、通貨の需要と供給のバランスにより日々変動するため、為替変動により、売却時の為替レートが預入れ時よりも円高になってしまった場合、元本割れする可能性がある。

例えば、預入時の為替レートが1ドル120円である場合、1ドルを預けるには120円必要だ (ここでは、便宜的に手数料は考慮しない) 。引出時の為替レートが預入れ時より円高になり、1ドル100円になった場合、受取額は100円となり、20円の損失 (為替差損) が発生する。利息がこの損失額を上回らない限り、元本割れする。反対に為替レートが預入時よりも円安になり、1ドル140円になった場合、受取額は140円となり、利息にプラスして20円の利益 (為替差益) が発生する。

外貨預金の利益確保には、金利だけでなく為替相場が関わってくる。円高時に預け、預入時より円安になった時に引き出すことがポイントだ。もし、外貨定期預金に預入れして、満期日に円高だった場合は、無理に円に戻さず、外貨のままにしておくことも考えられる。円安になったら円に換金して利益を確保すればよい。

勘違い2 為替が変動しなければ元本割れにならない

外貨預金では外貨の買付時と売却時、どちらにも為替手数料がかかるため、為替変動がない場合でも、元本割れの可能性はある。例えば米ドルの場合、1通貨あたり片道1円や50銭という設定なので軽視してしまいがちだが、外貨預金をする上で為替手数料は損益を左右する重要な要素である。

為替レート (仲値) が1ドル100円、為替手数料が1ドル当たり1円だと仮定する。買付時には為替手数料を上乗せして1ドル当たり101円必要になる。売却時に為替変動がなく、買付時と同じく為替レート (仲値) が1ドル100円だった場合、100円から1円の為替手数料を差し引いて1ドル当たり99円となる。為替変動がなくても手数料分だけ元本は減ってしまう。

市中銀行のネットバンキングやネット銀行には、為替手数料を1ドル5銭などと低く抑えている銀行もある。為替手数料の低い銀行を利用することが重要だ。

勘違い3 とにかく高金利な通貨を選べば良い

外貨預金には、米ドルやユーロ、豪ドルなどさまざまな通貨による預金がある。通貨によって金利は異なり、金利の大きい外貨の方が利益を得やすいと思いがちだ。だが前述のとおり、為替変動についても考える必要がある。

為替相場には、政治や経済が影響を及ぼすことが多いため、その国の情勢などの確認も必要だ。米ドルや豪ドルなどの先進国通貨は比較的安定しているため、新興国リスクまでは取れない人に向いているだろう。トルコリラや南アフリカランドなどの新興国通貨は為替変動が大きい傾向にあるため、リスクを取ってでも為替差益を得たい人に向いている。自分のリスクに対する許容度を確認して通貨を選ぼう。

勘違い4 為替差益がそのまま手元に残る

外貨売却時の為替レートが、為替手数料を考慮しても購入時よりも円安となる場合、為替差益が出る。為替差益は雑所得として課税されるため、確定申告が必要な場合もある。

ただし、年収2,000万円以下の給与所得者で、雑所得などの給与所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告が不要になる。なお、為替差損があった場合、確定申告をすると他の雑所得から控除できるので覚えておこう。

勘違い5 金融機関が経営破綻しても預金保険の対象になる

日本国内の金融機関が経営破綻した場合に、破綻した金融機関に預けているお金を保護する制度として預金保険制度がある。だが、預金保険制度の保護の対象は日本円に限定されているため、外貨預金は保護されない。そのため、万が一に備えて外貨預金を1つの金融機関に集中させず、いくつかの金融機関に分けておく方が安心だ。

これから外貨預金を始めようと考えている人は、ここで紹介したよくありがちな勘違いを事前に把握し、いいスタートを切れるようにしよう。(提供:大和ネクスト銀行

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