シニア層の買い物と言えば、現金志向が強いというのが従来のイメージだった。ところが、もはやそれは過去のものとなってきたようだ。

視聴率調査で知られるビデオリサーチによれば、東京50キロメートル圏内に住む人を対象としたアンケート調査でシニアによるクレジットカードの所有率は88%に達したという。

依然、現金払いにこだわる人もいるようだが、国を挙げてキャッシュレス決済の普及を推進しようとしているのも事実。その波に乗り遅れると、キャッシュレス時代の恩恵を享受できない可能性も出てきている。

特に50代後半でクレジットカードの利用額が急拡大中

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(写真=Zapp2Photo / Shutterstock.com)

ビデオリサーチの同調査第1回が実施されたのは4年前の2015年。実は当時と比べてシニアのクレジットカード所有率自体はさほど増えておらず、4年前と比べて急増しているのはシニアのクレジットカード利用金額のほうだという。

特に50代後半の増加が顕著で、世帯年収やお小遣いの金額には目立った増加がうかがえないため、現金払いからクレジットカード払いへのシフトが進んだことがその背景にあると考えられている。また、電子マネー機能付きカードの所有率もショッピング系、鉄道系とも9割近くに達し、ほとんどのシニアがいずれかを所有しているようだ。

このところキャッシュレス決済は、従来からあったクジレットカードに加え、前述の電子マネーやデビットカード、Apple Pay (アップルペイ) やLINE Pay (ラインペイ) 、PayPay (ペイペイ) といったスマートフォンやタブレット端末を用いたキャッシュレス決済サービスが急増している。それらを利用すれば、現金が手元になくても料金を支払うことができ、偽札などの被害に遭う恐れもなく、お釣りの間違いも防げる。

また、普及を促進するためのキャンペーンを実施しているケースもあり、現金払いよりも有利になりやすい。しかも、国策としても本腰を入れてこのサービスの浸透を図ろうとしているのだ。

消費増税は現金払いには辛いが、キャッシュレス決済なら恩恵が

周知の通り、2019年10月に消費%を10%に引き上げることが予定されている。それに伴い、政府が中小企業支援としてキャッシュレス決済へのポイント還元策を実施する。中小企業が販売している商品 (ネット通販含む) を購入し、クレジットカードやスマートフォンでキャッシュレス決済をすると、5%分のポイント還元が受けられる。国がここまで力を入れるのは、諸外国と比べて日本のキャッシュレス決済の普及率が低いからだ。

経済産業省が2018年5月にまとめた「キャッシュレスの現状と今後の取組」によれば、主要国ではキャッシュレス決済比率が40~60%台に達しているのに対し、日本は20%未満にとどまっているという。そこで、国がこの遅れを取り戻すために、5%還元を掲げて本気で普及を進めようとしているわけだ。

2017年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」でも、今後10年間 (2027年6月まで) にキャッシュレス決済比率を倍増させる目標が打ち出されている。観光立国宣言に伴うインバウンド (訪日外国人旅行) の急増が物語るように、国が力を入れれば、国内でもキャッシュレス化が急速に進む可能性が高い。

冒頭で紹介した調査にあるように、首都圏に住むシニアはいち早くキャッシュレス決済を取り入れ、自分たちにとって常識のものとして使いこなしているようだ。早晩、こうした風潮が地方に拡大していくと考えられる。

早ければ早いほどメリット大 !?

特に大きな契機となりそうなのが、2020年の東京五輪・パラリンピックの開催だ。すでにキャッシュレス決済が当たり前となっている国々から旅行者が大挙して訪れるだけに、今後さらに急速に対応が進むものと推察される。

そうだとすれば、今のうちにキャッシュレス決済に切り替えるのが賢いといえるかもしれない。熾烈なキャッシュレス競争が繰り広げられている今こそ、先にも述べたキャンペーンと、現金払いよりもはるかに決済がスピーディーで便利になる恩恵をダブルで享受したい。(提供:大和ネクスト銀行

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