お金に関するトラブルは誰でも避けたいものだが、そのためには「お金の時効」について知っておく必要がある。そこで、ケースごとのお金の時効やトラブルに見舞われた場合の対処法を解説する。併せて、お金のトラブルの元となる詐欺事例についても複数紹介する。
ケースごとの「お金の時効」
知人にお金を貸している場合や過去に賃金の未払いがある場合、お金のトラブルにつながりやすい。知人が約束の期限通りにお金を返してくれたり、雇い主が賃金の未払いを早期に解消してくれたりすればよいが、そううまくはいかないときも多々あるのが現実だ。
こうしたケースにおける「時効」はどれくらいの期間か、ご存じだろうか。
他人にお金を貸した場合の時効は ?
他人にお金を貸した場合、以下の2つの早いほうが時効として適用される。
①「権利を行使できる時」から10年
②「権利を行使できることを知った時」から5年
①の「権利を行使できる時」とは、「返済期日」のことを指す。例えば2025年1月1日が返済期日なら、「権利を行使できる時」は2025年1月1日だ。
②の「権利を行使できることを知った時」は、例えば返済期日を「お金を貸した相手が就職した時」としていた場合、相手が就職したことを知ったタイミングが起点となり、時効が成立するのはその時点から5年ということになる (就職した日が起点となるわけではない) 。
ちなみに2020年4月の民法改正前にお金の貸し借りがあった場合は、①が適用される。
過去に賃金の未払いがあった場合の時効は ?
民法改正で未払い賃金の請求権の時効は「5年」とされたが、当面は企業側に配慮した猶予措置として「3年」となっている。この期間の起点となるのは「本来の支給日」だ。
お金のトラブルに見舞われた場合の選択肢
お金の時効を知っていても、相手方の対応次第では、本来受け取れるはずのお金を手にできないことがある。こうした場合はどうすればいいのか。
弁護士に相談する
まず弁護士に相談することが推奨される。法律事務所を通じて弁護士に相談する場合、基本的には相談時間に応じた相談料がかかるが、初回無料で相談を受けている事務所もある。日本司法支援センター (法テラス) や自治体が設けている相談窓口を利用すれば、無料で相談を受けやすい。
知っておきたい「少額訴訟」制度
弁護士に相談せずに「少額訴訟」制度を利用する方法もある。請求額が60万円以下の場合に利用でき、簡易裁判所で原則として1回の審理で迅速に判決が出る。手数料も安めで、訴状の書式や書き方例は裁判所のホームページからダウンロードできる。
投資話によるお金の貸付にも要注意
お金のトラブルは、お金の貸し借りや賃金の未払いだけではない。年齢を重ねてくると老後のために資産運用に興味を持つ人が増えるが、「お金を預けてくれれば運用して増やすから」と誘われてお金を渡し、その相手が音信不通になったり、お金が戻ってこなかったり、といったケースもある。
他人に資産運用を依頼してしまう心理
なぜ人は他人に資産運用を依頼してしまうのか。以下のような心理に陥ると騙されやすいため、注意が必要だ。
- 自分より知識や経験がある人の方が上手に運用してくれると感じる
- 自分で投資をする方法が分からないし、手間もかかりそうで面倒くさい
- 他人の儲け話を聞いて、自分も儲けたいと欲が出た
また、昔から他人からの誘いを断りきれない人も気をつけよう。
よくある詐欺の手口も知っておこう
投資話には実は詐欺というものも多い。被害に遭わないためには、投資詐欺を含め、よくある詐欺の手口を知っておくことが重要だ。
ロマンス詐欺
ロマンス詐欺は、恋愛感情を持った相手を騙す手口だ。犯人は相手が自分に好意を持ってくれていることにつけ込み、詐欺だとバレないように嘘の投資話を持ちかけたり、自分や親の借金、医療費のためにお金が必要だと相談してきたりする。
預貯金詐欺
預貯金詐欺は、自治体や税務署の職員などを名乗って被害者に近づいてくる。「医療費の払い戻しがある」「キャッシュカードを更新する必要がある」などと言い、銀行のキャッシュカードや暗証番号の情報を騙し取ろうとする。「キャッシュカード詐欺」などとも呼ばれる。
還付金詐欺
還付金詐欺にも要注意だ。市区町村や年金事務所の職員などを装い、ターゲットに「還付金を振り込むのでATMに行ってほしい」と伝え、言葉巧みに逆にお金を犯人たちの口座に振り込ませる手口だ。
大切なお金を失わないために
「お金の時効」を知っていれば、貸したお金や未払いの賃金を請求せずに損をしてしまうことを避けられる可能性がある。しかし、相手が請求に応じてくれない場合もあるので、そのときに備えて弁護士への相談といった対応策も頭に入れておきたい。
また、その他にも大切なお金を失う様々な詐欺事件が起きていることをこの記事では紹介した。典型的な詐欺事例を事前に知っておけば、被害を回避しやすい。日々、新聞やテレビ、インターネットなどで詐欺事件の発生情報などもチェックしよう。
(提供:大和ネクスト銀行)
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