「インフレ」と「デフレ」の違いを理解している人は多いはずだが、「インフレ」と「ディスインフレ」についてはどうだろうか。本記事では、物価の動きを理解するうえで重要になる、ディスインフレの定義や物価上昇に備えるインカムゲイン狙いの資産運用術について解説する。
「インフレ」と「デフレ」についておさらい
ディスインフレについて説明する前に、まずインフレとデフレの意味を再確認しておこう。インフレは「インフレーション」 (inflation) の略で、物価が継続的に上昇し続ける状態のことを指す。一方のデフレは「デフレーション」 (deflation) の略で、物価が継続的に低下し続ける状態のことを指す。
「ディスインフレ」とはどのような状況 ?
さて、ディスインフレとはどのような状態のことを指すのだろうか。
ディスインフレの定義
ディスインフレは「ディスインフレーション」 (disinflation) の略で、物価の「上昇率」が低下していく状態のことを指す。つまり、物価は上昇しているもののインフレの加速は抑えられており、かつ、物価が下がり続けるデフレにもなっていない状況と言える。
どのようなときに起きやすい ?
ディスインフレが起きる要因はさまざまだが、例えば過度なインフレ期に金融引き締めが実施され、物価上昇率が抑えられた際に起きやすい (ちなみにこの状況が加速すると、行き着く先はデフレとなる) 。
また需要が弱い状況が続いたり、逆に供給が多い状況が続いたりすると、結果として物価が下がりやすくなるため、ディスインフレの要因になり得ることも知っておきたい。世界的な資源価格の低下や低下観測も全体的な物価の下落につながりやすく、ディスインフレが起きる要因の一つとなる。
日本や米国でディスインフレ期はあった ?
日本や米国も含め、多くの国が過去にディスインフレ期を経験している。日本では、1990年代のバブル崩壊後にディスインフレ期が続いた。またインフレ率の推移を示したグラフを分析すると、2010年代後半にもディスインフレの傾向が見られる。
米国においては、2022年半ば~2023年半ばにかけ、消費者物価指数の低下傾向が顕著だった。つまりインフレの進行が抑えられた格好であり、まさにこの状況がディスインフレと指摘されるケースは少なくない。
インフレとディスインフレに共通していること
ここで一つ重要な視点を改めて提供したい。インフレもディスインフレも、依然として物価の上昇が起きているということには変わりがないという点だ。物価が上がる場合、特に現役世代後半は資産運用が重要になる。
若い世代の場合、物価が上昇してもいずれ給料自体が上がれば購買力の低下を避けることも可能だ。しかし現役世代後半の場合、そう遠くない未来に退職を迎えることになるため、給料アップで物価上昇を相殺できなくなる。
日本銀行が前年比で2%のインフレが維持される状況を目標に据えていることも踏まえると、インフレに備えることは非常に重要となる。
物価上昇に備えるインカムゲイン狙いの資産運用術
では、さまざまな手法がある資産運用のなかで、物価上昇に備えるためにはどのようなアプローチが考えられるだろうか。現役世代後半の人は、安定的にリターンを得られる「インカムゲイン」に着目した資産運用が正攻法としておすすめだ。
高金利狙いの外貨預金
インカムゲイン狙いの資産運用手法の一つである「外貨預金」は、日本円よりも金利が高い外貨で預金をすることで、円預金より多くの利息を得られることが期待できる。具体的な通貨を挙げるならば、米ドルや豪ドルなどだ。
金利が高い複数の通貨に分散投資をすれば、資産の分散によって運用リターン (利益・損失) の平準化が期待できるほか、金利が高い分、為替変動で多少の損失が出ても金利収入でカバーしやすく、堅実な資産運用につながる。
配当狙いの株式投資
配当を出している株式を保有することも方法の一つだ。ただし株式の場合、当該企業の業績によって配当が減配となったり、為替よりもはるかに大きな変動幅で株価が下落したりすることも少なくない。また、どの企業の株式を保有するかの選択や、その企業のニュースをチェックし続ける必要性が生じ、仕事で忙しい現役世代にはややハードルが高い側面もある。
利息狙いの債券投資
債券を保有していると、保有している間は利息を安定的に受け取ることができる。新規発行された債券を購入して満期まで保有し続ければ、債券価格の値下がりによる損失も生じない。ただし、債券についての知識を持っている人は決して多くはなく、その状態で債券投資を始めることに不安を覚える人も少なくない。
物価上昇分をしっかりとカバーしよう
物価が上昇する以上、将来的な収入アップで物価上昇分を相殺しにくい現役世代後半の人は、事前の資産運用で物価上昇分をしっかりとカバーする備えが重要となる。早めに外貨預金などで資産運用をスタートすることを意識したい。
(提供:大和ネクスト銀行)
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