総務省統計局が「こどもの日」に合わせて、15歳未満の子どもの推計人口を発表した。その結果、子育て支援に力を入れているにもかかわらず、子どもの数が減り続けている現状が、改めて浮き彫りとなった。少子化は、日本の国力低下を招き、国際的な競争力の低下を助長する。そうした状況のなかで、日本の個々人は将来に向けてどのように備えるべきなのか。本記事では、子どもの数に関する最新データをもとに考察していく。

子どもの数は44年連続の減少

少子化が招く「日本の国力低下」。個人はどう備えるべきか
(画像=moonrise / stock.adobe.com)

総務省統計局が2025年5月に公表したデータによると、2025年4月時点の子どもの数は、44年連続の減少となった。

年 / 月男女計
2024年4月1,400万人717万人683万人
2025年4月1,366万人699万人666万人

2024年と比較すると、わずか1年で34万人もの減少となっており、これは中規模都市の人口に匹敵する規模である。男女ともに減少しており、少子化が一層深刻化していることがうかがえる。

子どもの割合は51年連続の低下

一方で、子どもの割合はどうだろうか。結論からいえば、51年連続の低下となった。前述の総務省のデータによると、1950年時点の全人口に占める子どもの割合は35.4%だったが、2025年4月時点では11.1% (前年比-0.2ポイント) と低下しており、過去最低を更新した。

少子化はなぜ国力低下を招くのか

日本政府は、2023年4月に「こども家庭庁」を発足させた。内閣府や厚生労働省が担っていた事務を一元化することで、より効果的な子育て支援などの施策を展開しやすくなることに対する期待感が高まっている。国がいま少子化対策に躍起になっている理由は、少子化が国力低下につながるからだ。

ここでは、少子化が国力低下を招く理由として、代表的なものを2点挙げよう。

人手不足が壊す社会のインフラ

少子化は、単に労働力が足りなくなるという話では終わらない。支える世代の人口が減ることで、教育や医療、インフラといった公的サービスを「縮小せざるを得ない」地域が今後ますます増えていく。問題なのは、制度の質や公平性ではなく、「アクセスできる場所」が限られていくという点だ。たとえ都市部では今すぐ影響が見えなくても、地方ではすでに“必要なサービスが成立しない現実”が広がりつつある。少子化は、社会の格差を静かに拡大させる要因にもなるのだ。

縮小する市場と、失われる将来への投資意欲

少子化によって将来の消費者の数が減れば、多くの分野で国内市場の規模が縮小する。これは当然の流れだが、問題はそれだけではない。市場の先行きに対する不安が広がることで、企業は将来に向けた事業拡大の投資を控えるようになりやすい。その結果、国内の経済活動がますます鈍化し、成長を続ける海外諸国との競争において、不利な立場に立たされるリスクも高まっていく。

制度は残っても、守られない未来が来る可能性も

少子化が進行することで、現役世代と高齢世代のバランスが大きく崩れる。年金や医療といった社会保障制度は形として存続していても、支え手が減ることで給付水準や受けられるサービスの内容が見直され、実質的な負担が増す可能性がある。制度があるだけでは安心とはいえず、「守られている」と実感できない未来が現実のものとなるかもしれない。

したがって、制度があるというだけで安心するのではなく、その中身や持続可能性に目を向けることが重要だ。仮に制度の機能が十分に果たせなくなった場合に備えるという意味でも、公的な仕組みにすべてを委ねるのではなく、自分の将来をどう支えるかを個々人が主体的に考えておくことが、これからの時代にはいっそう求められる。

個人ができる備えは ?

では、個人でできる備えには、具体的にどのようなものがあるだろうか。例えば、定期的な運動や食生活の改善、定期検診の受診など、日々の健康管理に取り組むことは、長く働き続けることや医療費の抑制につながる点で、将来への備えになるといえる。同時に、将来に向けた「資金的な備え」も重要な要素となる。

キャピタルゲインを狙った資産運用

資産運用には大きく2つの方法がある。その一つが、キャピタルゲイン (売却益) を狙う投資だ。代表的なのは株式投資で、安く買って高く売ることで利益が得られる。特に成長分野の企業に投資すれば、大きな値上がり益も期待できる。ただし、株価は経済情勢や企業の業績で日々変動するため、「いつ買って、いつ売るか」の判断には知識と経験が必要だ。初心者にはややハードルが高いため、まずは少額で投資信託やETFを活用するなど、無理のない方法から始めるのが現実的といえる。

インカムゲインによる安定的な収入

もう一つの方法が、インカムゲイン (保有している間に得られる収益) を重視する資産運用だ。銀行預金や債券などによる利息収入が代表的で、比較的安定したリターンが期待できる。なかでも外貨預金は、日本円よりも高い金利が期待できる点が大きな魅力だ。特に物価上昇 (インフレ) に対して円の実質的な価値が目減りしていく局面では、外貨での資産保有が価値の目減りを抑える手段となる。

ただし、為替相場の変動により、元本割れのリスクが生じる点には注意が必要だ。例えば円高が進行した場合、外貨を円に戻す際に受取額が目減りする可能性がある。こうした為替変動リスクを抑えるには、購入タイミングを分散できる「外貨積立」を活用するのが有効だ。また、高金利通貨であれば、利息収入によって為替差損を相殺できるケースもある。

できるだけ早期に資産運用に取り組もう

少子化が進行するなか、日本社会が抱えるリスクは今後さらに高まっていくと考えられる。将来に備えるうえでは、資産形成の視点を持つことがますます重要になっている。資産運用は、早く始めるほど複利の効果が働きやすく、長期的な成果につながりやすい。無理のない範囲で、できるだけ早期に取り組み始めることを検討したい。

(提供:大和ネクスト銀行


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