子育て世帯がお金のやりくりを考えるうえで、子どもの教育費を抜きにして考えることはできません。2020年には教育改革が行われることが発表されており、この改革で学校教育と大学入試が変わります。特に、学校教育の改革においては、小学校5年生から英語が評価対象の教科として導入されるほか、自分の考えを表現し判断できる能力を身に付ける教育に変わります。
このような変化に対応するため、子どもの将来を考えて習い事や塾、進学先などにお金をかける家庭が多くなる可能性があります。ここからは過去のデータを参考にしながら、わが家の教育費がどれくらい必要になるのかを考えていきましょう。
公立と私立の教育費ギャップは幼稚園から
次の表は、幼稚園から高校までの子ども一人あたりの学習費総額(保護者が1年間に支出した額)です。学習費総額とは、学校教育費、学校給食費、学校以外での習い事、塾、芸術鑑賞、スポーツなどの学校外活動費が含まれます。
保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額
区分 | 学習費総額(円) | |
幼稚園 | 公立 | 233,947円 |
私立 | 482,392円 | |
小学校 | 公立 | 322,310円 |
私立 | 1,528,237円 | |
中学校 | 公立 | 478,554円 |
私立 | 1,326,933円 | |
高校(全日制) | 公立 | 450,862円 |
私立 | 1,040,168円 |
※文部科学省/平成28年度子供の学習費調査より
公立と私立の教育費ギャップは、すでに幼稚園からはじまっています。この表を見ると、私立幼稚園は公立幼稚園の2倍以上の金額です。そのため幼稚園を選ぶときは、その方針とともに必要な金額も調べておくことが大切です。
幼稚園から高校の15年間にかかる教育費を単純合計すると、すべて公立に通った場合で約540万円、すべて私立に通った場合で約1,770万円もの費用がかかることになります。ただし、これはあくまでも平均実績です。近年、小学校から塾に通って中学受験をする子どもが増えているので、実際にはもっと教育費がかかっている家庭もあると推測できます。
さらに進学だけでなく芸術・スポーツなど、教育の幅も選択肢も増えているため、それに伴い塾や習い事などにかかる費用もさらに大きくなるでしょう。だからこそ教育費の準備は、早めにはじめておきたいものです。
高校卒業者の進学率は年々上昇
平成29年3月高校卒業者の進学率は、大学、短大進学が54.8%、専門学校進学が16.2%となっており、7割以上が進学しています。特に大学進学率は年々上昇傾向にあります(文部科学省/平成29年度学校基本調査より)。そのため大学受験や高校以降の進学に伴う費用も考えておかなければなりません
進学先によって大きく違いがありますが、国公立大学の学費は入学費用(受験費用・学校納付金・入学しなかった学校への納付金)が約70万円、大学4年間の在学費用が約430万円かかるとのデータがあります。さらに私立大学理系になると、入学費用が約87万円、在学費用が約720万円かかることが分かっています(日本政策金融公庫/平成29年度教育負担の実態調査結果より)。
教育費はいつから貯める?
教育資金は、子どもが生まれたタイミングで学資保険に加入して準備をはじめる人も多いことでしょう。こうした保険商品は貯蓄性と万が一の保障が付いていることが多いため、教育資金を確保するためには安心です。ただし、途中で解約すると元本が保証されないことがあるため、必ず加入前に注意事項を確認しておきましょう。
次に、0歳から15歳まで支給される児童手当をそのまま貯蓄していく方法も有効な手段です。全て貯蓄できれば、最大で200万円ほどのまとまった金額になります。児童手当を受け取るための申請手続きや所得に応じた制限など、詳細の条件は内閣府のホームページで確認しましょう。
将来を見据えて、早めの計画を
子どもは生まれてから6年たったら小学生、18年後には進学を検討する時期を迎えます。子どもを持つ人なら誰にでも訪れるライフイベントであると同時に、それに伴ってお金も必要となってきます。
支出が見込まれるお金については、できるだけ早く準備に取りかかること、できれば小学校低学年までが1度目の貯めどきと見極めて貯蓄することが大切です。各家庭で無理のない計画を立てて貯蓄していきましょう。(提供=auじぶん銀行)
執筆者:たつみともこ(ファイナンシャルプランナー)
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