株式投資は、「安く買って高く売る」ことが成功の秘訣です。一見シンプルな鉄則ですが、銘柄選択や売買のタイミングを見極めるのはプロであっても至難の技ですから、実際に行うのは難しいものです。今回は投資に失敗した例からその原因を探り、失敗しないための投資や失敗した時の対処法について考えていきましょう。
株式投資の失敗例
・事例1 高値買い
相場がまだまだ上がるだろうと思って買った直後に、値が下がってしまう高値買い(高値掴み)は初心者がやってしまいがちな失敗例の一つです。「決算が好調」「新商品の販売」「大手との業務提携」など株価が上昇する要因は様々ですが、前日比で株価が1,000円以上急騰することもあります。
株式は基本的に100株単位で購入するので、「1日で10万円(1,000円×100株)の利益になるかも」と皮算用をしてしまい、「今のうちに買っておきたい」と思ってしまうものです。しかし、思ったほど株価が上昇せず、逆に値下がりしてしまうことで損失を抱える結果になることがあります。
・事例2 ナンピン買い
ナンピン買いとは、保有している株が値下がりした時、平均購入単価を下げるために、同じ銘柄を買い増しすることです。しかし、買い増しした後に、さらに株価が下がり続けてしまい、そのまま戻らないこともあります。ナンピン買いが、損失額を増やしてしまう結果になることもあるのです。
・事例3 配当金や株主優待目当てで失敗
株式投資は売却益以外に、配当金や株主優待が受けられることも魅力の一つではないでしょうか。しかし、配当金や株主優待の内容は、業績に左右されることもあります。購入時には高配当、株主優待が充実していても、最悪の場合無くなってしまうこともあります。また、その時の株価次第では売るに売れなくなってしまうこともあります。
株式投資で失敗しやすい人の特徴
株式投資で失敗する原因は、主に3つあると著者は考えています。
- イメージや情報に惑わされる
- 人のオススメに便乗してしまう
- 損失を恐れるあまり、冷静な判断ができなくなる
株式投資は数万円で買付ができるなど、少額資金で手が届く銘柄も多くあり、簡単に始められるものもあります。
そのため、会社の業績や財務内容、株価の推移をよく調べずに、「知っている会社だから」という理由や「老舗だから安心」というイメージで選んでしまうことがあります。しかし、「よくよく調べれば実は業績が悪かった」ということもあるでしょう。
また、「これからは○○業界が伸びる」「今、買い時なのは□□」といった情報を鵜呑みにしてしまうのも、注意が必要です。旬な銘柄は特に売買のタイミングが難しく、先ほど失敗例で示した高値買いに繋がりやすいと考えます。
そして、買付した銘柄が買った途端に下がっていくと、どうして良いか分からず、株価が下がり切ってしまったところで売却してしまう、ナンピン買いをしてしまうなど、冷静な判断ができなくなってしまう人は損失を膨らませてしまうので要注意です。
株式投資で失敗しないためには
株式投資で失敗しないためには、銘柄の選択、売買のタイミングの「自分ルール」を作ることが大切です。例えば、買付する銘柄に関しては、「購入予算は15万円まで」や「好きな製品を作っている会社から選ぶ」、「上場して10年以内の銘柄を選ぶ」などが挙げられます。
また、売却のタイミングも「20%値上がりしたら売る」「塩漬け期間が1年以上になったら損切りする」など、あらかじめ決めておくことで、不測の事態がおきても冷静に対処することができるでしょう。
また、日中は仕事などで相場のチェックができない方は、「指値注文」といって、売買の株価を指定しての取引もできますので、活用してみるのも良いでしょう。
そして、投資資金の捻出についてですが、貯めたポイントで投資することもオススメです。「ポイント投資」といわれていますが、「もともと無かったお金」で投資をすることで、仮に損失が出ても心理面の負担が少なく、また投資初心者にとっては投資のトレーニングにもなります。
適切な判断でリスクを減らそう
残念ながら未来の市場は、誰にも読めません。「ベストな投資」を行おうとせず、適切なリスク管理を行って、「ベターな投資」を心がけることが大切です。失敗から学び、今ある資金を活かして資産運用をしていきましょう。
執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)
(提供=auじぶん銀行)
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