個人投資家の株式投資の9割がネット証券6社で占められているといわれるほど、ネット証券は投資をする人にとって身近な存在となっている。しかし、意外と知られていないことだが、野村や大和といった対面証券に口座を開設することにも利点がある。それは営業マンに相談できるといったことではない。実は対面証券に口座を作るとネットバンキングでの振込手数料が抑えられるのだ。
投資をするつもりはなくても証券会社に口座を作るべき?
ネットバンクに口座を開設する目的に「振込手数料を抑えたい」という人は少なくないだろう。ネットバンクなら同じ銀行の口座への振込は無料だし、他行への振り込み手数料も月数回無料のこともあるからだ。
しかし振込手数料を抑えるためのもっとお得な方法、対面の大手証券会社で口座を作ることだ。「ネット証券に口座を持っているから必要ない」という人もいるだろうし、「株式投資をしたいわけじゃない」と思われる人もいるだろう。だが安心してほしい。無理に株式や投資信託を買わなければいけないわけではない。
どのくらいお得なのか、ネットバンクと対面証券系のネットバンクの振込手数料を比較してみよう。
ネットバンクの手数料 同行宛はたいていの振り込みは無料
有名ネットバンク10行の振込手数料を比較してみよう。今回はATMやコールセンターの手数料は除外し、インターネットバンキングの振込手数料のみで比較する。
まず同行あての手数料が無料になるのはスルガ銀行、東京スター銀行、イオン銀行、ソニー銀行、じぶん銀行、楽天銀行、新生銀行、住信SBIネット銀行の8行である。関西アーバン銀行は同一支店あてのみ無料である。
次に他行あて振込を比較すると、残高の有無に関係なく月1回まで無料なのが、ソニー銀行、新生銀行、住信SBIネット銀行である。条件を満たすと手数料無料になるのは4行あり、じぶん銀行、楽天銀行は月5回、新生銀行は最大10回、住信SBIネット銀行は最大15回となっている。スルガ銀行、関西アーバン銀行、東京スター銀行、イオン銀行、ジャパンネット銀行は他行あての振込手数料無料というサービスはなかった。
上記のようにネットバンクは対面銀行に比べ、振込手数料のサービスは充実しているのがわかる。しかし総じて無条件での振込手数料無料は月1回が最大である。
対面証券系ネットバンク 野村は月30回まで他行振り込みも無料
振込手数料のサービスを比較する前に、そもそも証券系ネットバンクとはいったいどういった銀行なのであろうか。
対面証券系ネットバンクとは対面取引が主体の証券会社をグループに持つネットバンクを指す。証券会社に口座を作らないとこれらのネットバンクには口座を開設できない。代表的な2行を比較してみよう。
①大和ネクスト銀行
大和ネクスト銀行宛ては月何度でも0円。
本人名義の他行宛ては無料。(一部金融機関宛ては回数制限有り)
他人名義の他行宛ては月3回まで無料。
4回目以降は1回につき216円。
②野村信託銀行(野村ホームバンキング)
野村信託銀行宛ては月何度でも0円。
振込手数料は月30回まで無料。(一部金融機関宛ては回数制限有り)
但し2016年4月1日より月10回に変更。
上述のように、対面証券系のネットバンクは無条件で適用される振込手数料無料の回数が多い。大和ネクストは本人名義宛なら他行宛でも無料だが、これはたとえばカードやローンなどの引き落とし口座が複数の銀行に分かれている人には便利なサービスだろう。
他行宛に注目すると、大和ネクスト銀行は月3回まで、野村信託銀行の野村ホームバンキングは月30回まで無料(2016年4月1日より月10回に変更)と通常のネットバンクよりもお得であることが分かる。
ここまで見てきたように、通常のネットバンクに口座をつくっても、振込手数料が抑えられるにはかなりの条件が課せられている。もちろん対面証券系のネットバンクも無制限に優遇が受けられる訳ではないが、回数や条件のハードルは低いといえる。手数料を抑えることが目的なら、対面証券系のネットバンクを使わないと損ではないだろうか。
すぐに投資を始めるつもりがなくても、また既にネット証券に口座を持っている人も、振込手数料を抑えるために対面証券で口座を開設してもいいかもしれない。(ZUU online 編集部)