ベトナム,コラム
(写真=PIXTA)

アジアFinTech(フィンテック)の期待の国として頭角を現しつつあるベトナム。スタートアップ支援プログラム「US 500スタートアップ」による1000万ドル(約11億1390万円)の資金調達に続き、今度は国際2大手銀行、ゴールドマン・サックスとスタンダード・チャータードが「シリーズBラウンド」を通し、モバイル決済会社MOMOに総額2800万ドル(約31億2004万円)を投じることが明らかになった。東南アジアにおける単独での資金調達最高額となる。

ベトナムFinTechへの海外からの期待度は急速に高まっている。ウォールストリートやシリコンバレーの大企業から、米国、ベルギー、フィンランドなどの政府までが積極的に手を差し伸べているというから驚きだ。

ベトナムFinTech期待の新星 MOMO

2013年に570万ドル(約6億3492万円)をMOMOに投資したゴールドマンは、今回のラウンドで300万ドル(約3億3417万円)の追加投資を行う。スタンダード・チャータードは昨年8月にMOMOとの提携で銀行口座不要の決済アプリ「Straight2Bank Wallet」のサービスをベトナムで開始しており、新たに2500万ドル(約27億8475万円)を投じることが決定している。

資金は主にStraight2Bank Walletの普及を、ベトナムで拡大するために使われる予定だ。来年までに加盟店を1万1000軒まで伸ばすことを目標としている。ベトナム・スタンダード・チャータード銀行のニルクタ・サプルCEOは、「我が社が築きあげた世界中に広がるネットワーク、そして革命的な商品とサービスが、MOMOを始めとするベトナムのFinTech企業の成長に役立つと確信している」とポジティブな構えだ。

MOMOはスタートアップ・ベンチャー、M_Service JSCによって設立されたモバイル決済会社である。設立当初はモバイル・バンキング・サービスのみを提供していたが、モバイル・ウォレットと決済アプリにも進出し、瞬く間にベトナムFinTechの表舞台に躍り出た期待の新星だ。

クレジットカードの普及率が低く、銀行サービスも充実していないベトナムでは、銀行口座を所有していない国民も多い。アプリ以外にも4000軒の加盟店を通して、支払いや現金の引き出しが可能な「口座代行サービス」も提供するなど、ベトナムにおける決済サービスの普及と向上に努めている。

多くのFinTechスタートアップが東南アジア全域への進出を目指しているなか、MOMOはあえて自国ベトナムでのビジネス展開に、少なくとも今後2年間は重点を置くという。M_Serviceのファム・タン・ドゥクCEOは「ベトナムで成功をおさめれば、インドシナ半島やミャンマーなどにも可能性が広がるだろう」と、根気強く長期戦で攻める意向を示している。( FinTech online編集部

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