保育,ETF
(写真=PIXTA)

日銀が年3兆円のETF購入枠に加え、新たに年3000億円を費やす「保育ETF」。保育支援に積極的に取り組むなどしている企業を組み入れたETFだ。安倍政権の政策支援にまで踏み込む格好だ。だが、かなり間接的な支援と言えるため直接的な影響は懐疑的であること、日銀の買い入れが与えるインパクトなど不透明な部分は多い。

野村や大和が組成を準備している模様

4-5月にも上場するといわれている保育ETFの組成には、野村アセットマネジメントや大和投資信託など大手運用機関が乗り出している模様だが、含まれる銘柄やその数はまだ不明だ。そこでヒントの一つになりそうなのが月刊誌『日経WOMAN』(日経BP)が毎年公表する「女性が活躍する会社BEST100」だ。昨年6月号掲載の第13回調査では、トップ10のうち上場企業は8社で、第1位の資生堂に次いで、順にセブン&アイ・ホールディングス、ANA、ジェイティービー、第一生命、高島屋、リクルートHD、パソナグループだ。

資生堂は、「育児短時間勤務を利用する美容職(ビューティー・コンサルタント)約1200人の働き方改革を実施するなど、女性がより活躍できる環境作りに取り組んで」いる点が評価されている。4月からホンダが在宅勤務制度、清水建設はフレックス勤務制度を導入、またトヨタ自動車は女性社員のキャリア意識向上に向け管理職向け研修プログラムを拡充するなど、いずれも育児中の女性社員の働く環境を整備に熱心な企業ばかりだ。

保育ETF購入で日銀が「池の中のクジラ」に?

女性の就労支援という国策絡みであるうえ、日銀が買い入れる「お墨付き」もあり、一般投資家にとっても収益機会といえるかもしれないが、前評判だけでこのETFに飛びつくのは考えものだ。

東証に上場するETFのうち、時価総額100億円以上は3月18日終値で36銘柄ある。ほとんどが日経平均やTOPIX(東証株価指数)など市場を代表する株価指数に連動するもので、合計額はほぼ15兆円。日銀が金融緩和策の一環としてETF買い入れを進めるにあたり、この時価総額の2割にもおよぶ年間購入枠3兆円のインパクトは大きい。

一部のエコノミストは株価をゆがめると指摘しているが、このままでは日銀が「池の中のクジラ」になる可能性もある。これは日銀(クジラ)の存在感が大きくなりすぎ、市場(池の生態系)を乱しかねないことを揶揄したものだ。

ましてや「保育ETF」では日銀買い入れの影響がそれをはるかに上回る可能性がある。「保育ETF」の規模にもよるが、日銀の買い入れ規模次第では株価(基準価額)が当初から大きくつり上がる事態も考えられる。その辺をよく見極める必要がありそうだ。(ZUU online編集部)