非合法な情報が飛び交う「ダークウェブ」。追跡が困難を極めるといわれる闇の空間では、あらゆる種類の違法行為や過激な活動が行われている。その資金源や取引の主流通貨として、ビットコインが今もなお悪用され続けていることが、最新の潜入レポートから明らかになった。

調査結果は、米国連邦捜査局(FBI)と欧州刑事警察機構による2013年の「ダークウェブ一斉検挙」以降、闇ユーザー間でのビットコインへの信頼度が薄れているとの説を完全に覆すことになる。

匿名性神話崩壊後も闇の世界で君臨

「クリプト政治と闇のネット(Cryptopolitik and the Darknet)」と名付けられたこのレポートは、キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部の講師、ダニエル・ムーア氏とトーマス・リッド氏が匿名通信システム「Tor(トーア)」を利用し、闇取引の実態を探ったものだ。

調査の対象となった30万件のウェブアドレスのうち、5205件が稼働中。2723件で「信頼度の高い闇取引」が行われているという。正確なデータを引き出すために、2015年1月から3月にかけて各サイトを最高100ページまでスキャン後、分析した。

ダークウェブは主に12つのカテゴリーから構成されている。稼働中のサイト内で最も大規模な分野は「麻薬密売(423サイト)」と「金融(327サイト)」。ビットコインを用いたマネー・ロンダリングや偽造通貨トレードが、金融分野を独占している状態だという。

一斉検挙当時、追跡不可能といわれていた闇市場「シルクロード」から17人の逮捕者がでた事件は記憶に新しい。FBIの発表によると、シルクロードの麻薬密売には12億ドル(約1130億9000万円)相当のビットコインが流通していた。翌年、ルクセンブルク大学の研究機関がビットコインとTorの黄金の秘匿性神話を否定。最近では米政府がTorネットワークへの介入法を発見したとも伝えられていることから、ビットコインに依存した闇取引は崩れ去ったと思われていた。

レポートでは正確な数字が明らかにされていないが、ダークウェブ全体の1日の平均売上は30万ドルから50万ドル(約3393万円から5655万円)と推測されている。この取引のほとんどをビットコインが占めていると考えると、法の手もビットコインの悪用を抑制するには至っていないことがわかる。

各国の政府がビットコインを含む仮想通貨の規制に乗り出してはいるが、本格的に犯罪行為を封じ込める解決策が打ち出されるには、まだまだ時間を必要としそうだ。( FinTech online編集部

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)