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1997年2月に株式会社エム・ディー・エムという会社が誕生しました。この会社こそ現在の楽天です。今や従業員数は1万人を超え、売上高は5,000億円を超えます。この楽天の急成長はEC事業だけで成せたものではありません。楽天は多くの子会社を保有しています。1から立ち上げていくというよりも、買収により、グループ内に取り込んでいっています。楽天オークションやケンコーコムといったものもあれば、楽天銀行や楽天証券、楽天生命保険など、金融事業も充実しています。国内だけでなく、VIKI(ヴィキ)、Kobo(コボ)、Buy.com(バイ・ドットコム)など海外展開も加速し始めています。

今年の3月にはキプロスに本社を置く無料対話アプリを提供するViberMedia(バイパー・メディア)を買収しました。バイパーメディアは全世界に2億8,000万人の登録ユーザーを抱えていると言われています。本拠地がキプロスにあるため、欧米の利用者が多いですが、中東やアジア、中南米などにも多くの利用者がいます。ただ、買収発表後の楽天の株価はさえない動きとなっています。

買収を繰り返し急成長している企業といえば、ソフトバンクが有名です。しかし、ソフトバンクと楽天では、その買収戦略に大きな違いがあります。ソフトバンクの買収は、多額の資金調達を伴った買収が印象に強いです。ボーダフォンしかり、スプリントしかりです。借入をしてまでもあらかじめ大きな買い物をして、買収した企業の利益で返済していくというイメージです。

一方で楽天の場合、事業で稼いだ資金の範囲内での買収に留まっている印象が強いです。山田善久副社長も「ネット通販で稼ぐ現金で賄うのが基本。多額の借り入れに頼るようなばくちは打たない」と発言しています。 バイパーの買収総額は9億ドル程度です。楽天の売上高からすれば、それほど大きな買い物ではありません。楽天の戦略は買収先が持っている顧客基盤にあるようです。以前は海外で直接的にECサイトを立ち上げ、顧客を獲得しようとする動きを見せていましたが、ここ数年はまず顧客基盤がある企業を買収し、その顧客にECを浸透させていこうとしているように見えます。しばしばメディアでは「脱EC」と書かれることもありますが、個人的にはあくまでもECがあっての買収戦略だと見ています。

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