ノルウェーに本社を置く世界最大規模の電子身元認証会社、Signicatが実施した調査から、2000人の英国一般消費者のうち4割が「必要な申請手続きが面倒」という理由で、口座開設やサービス購入を途中放棄していることが明らかになった。昨年と比較すると26%から45%まで増していることになる。
巨額を投じて高度なテクノロジーを屈指した商品やサービス開発に力を注いでいても、昔ながらの面倒な書類手続きは改善されぬまま。それが原因で見込み客を逃している実態が浮き彫りになっている。
オンライン申し込みの平均は最高35分で「簡単」?
各国の金融機関が定める本人確認やマネーロンダリング防止への規制は、年々厳格化している。特に英国の金融機関に対しては、「手綱を引き締め過ぎ」「規制を理由に、銀行業務には無関係な個人情報を引き出そうとする」という不満の声が消費者からあがっている。
3月21日にリリースされたレポートによると、「オンラインで商品やサービスを簡単購入」という、うたい文句も、ふたを開ければ平均18.45分から34.71分にもおよぶ申し込み書の記入に始まり、複数の身分証明書(運転免許証、パスポート、公共料金の明細書など)の郵送あるいは支店への提出など、到底“簡単”とはいいがたい。
その結果、39%が「手続に時間がかかり過ぎる」、34%が「個人情報の開示が限度を超えている」との理由で申請や購入を途中で諦めている。
申請手続きが「ポジティブな経験だった」と回答した消費者がプロセスに費やした時間は、「ネガティブな経験だった」と回答した消費者の約半分だ。こうした結果は、手続きの簡潔化がどれほど大きく顧客獲得に影響するかを表している。
「本人確認も含めすべての手続きがオンラインで完了するのであれば、購入を検討しやすい」という回答者は55%。52%が「本人確認書類の郵送、来店の手間がなければ、ほかの商品やサービスの購入も検討する」と答えている。
Signicatのグナー・ノードセスCEOは、多くの銀行が何百万ドルも投じて顧客獲得に必死になっているにも関わらず、消費者を惹きつける基盤部分を完全に見落としている点を指摘。「銀行業務はデジタル化しているが、オンボーディング(手ほどき)はアナログのままだ」とコメント。顧客を失う原因となっている書類手続きをデジタル化し、不必要に長い申請書を見直すように提案している。( FinTech online編集部 )
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