ボロ物件
(写真=PIXTA)

ボロ物件は、セオリー通りの客付けでは成功は難しい

不動産投資では、物件の築年数が経過するほど入居率と家賃は下がり、修繕費などの出費は増え、利回りが下がります。「このままではいけない」と多額な費用が必要な大規模改修や、全面リフォームを検討している方もいると思います。確かに、入居者が住む建物をキレイにすることは不動産投資のセオリーですが、老朽化した「ボロ物件」では、改修の効果はあまり望めません。ボロ物件で成功するためには、セオリーとは異なる方向からアプローチする必要があります。今回は、ボロ物件を大化けさせる3つの方法をお伝えします。

方法1 建物以外の部分を強くアピールする

ボロ物件の場合、ちょっとした修繕やリフォームを部分的にしたとしても、入居者にとっての魅力は高まりにくいです。時には建物の価値で入居を決めてもらおうという発想は、捨てる覚悟も必要になるでしょう。建物ではなく他の部分の魅力を入居者に感じてもらえるような物件のアピールポイントを、仲介会社と一緒に考えてください。

具体的には、ボロ物件では、建物はともかく、エリア的に利便性が高いこともありますので、その部分を徹底してアピールすると良いでしょう。例えば、「コンビニまで徒歩1分」「駅まで徒歩2分」「バスは3分おきに運行中」「コインランドリー、横にあります」「ショッピングモールまで徒歩5分」などです。生活をする上で便利な情報を、なるべく多くアピールします。

このような情報があれば、建物がボロでも生活しやすい部屋が欲しい、家にはあまりいないので買い物や交通アクセスが便利であれば良い、家では料理や洗濯はしないのでキッチンや洗濯機は不要などといった、築年数や設備・間取りなどよりも、最低限の生活ができれば良いと考える入居者が、集まる可能性が高まります。

他にも、海や山が近ければそれらの情報をアピールすると、物件ではなくその場所に魅力を感じてくれます。ボロ物件では、とにかく建物以外の部分をアピールして入居者を集めましょう。

方法2 一点豪華主義で特長を際立たせる

入居者からすれば、建物も設備もすべて新しいほうが良いでしょうが、賃料やエリアの関係上、限られた中で住む部屋を決めざるを得ません。そのような方の中には、自分の優先事項さえ満たせばボロでも借りる、という方もいます。そこで、ボロ物件の設備をあまりコストは掛けずに1つだけ豪華にするという方法もおすすめです。

ボロ物件では建物・設備面で魅力的な要素はあまりないかもしれませんが、この「一点豪華主義」が、入居者が心に決めている「ここだけは譲れない」という優先事項にうまく当てはまれば入居者が集まります。具体的には次のようなものです。何か1つだけでもお金を掛ければ、他がボロでも魅力を感じる人はいるかもしれません。

・ お風呂を豪華にする(バスルームのバスタブを大きくするなど)
・ キッチンを料理がしやすいようにリフォームする(シンクが大きくするなど)
・ 寝室「だけ」にエアコンを設置する
・ 狭い部屋の壁などを取り除き、ワンフロアにして開放感を演出する

ただし、このような改装にも費用が掛かりますので、当初家賃より5,000円程度はアップしないと、収益率が格段に下がるかもしれません。入居者のことを考えるのも大切ですが、まずは賃貸経営が成り立つ範囲の予算でやれることを考えてください。

方法3 DIY型賃貸契約により、自由を求める借り主を集める

「DIY型賃貸契約」について、簡単に説明します。DIY型賃貸契約とは、「貸し主ではなく、借り主が主体となって部屋を管理する契約」です。貸し主は部屋の清掃や修繕などを行わずにそのまま貸すことになりますので、経費が掛かりません。また、入居した借り主は自由に部屋の改装や設備の取り付けができます。退去の際の、原状回復も必要ありません。

これまでの賃貸借契約では、借り主は自由な改装が認められず、壁や床を傷つけただけでも、原状回復時に費用が発生するケースなどがありました。しかし、DIY型賃貸契約では借り主が自由に部屋をカスタマイズできるのが魅力です。このスタイルは特に若者などに人気が高く、相場より高めの賃料設定もできます。さらに、借り主自身で設備投資をしている部屋だと入居期間も長くなり、貸し主の収益率が低下しにくいというメリットもあります。

ボロ物件においては、オーナーが修繕やリフォーム費用を支払い、入居者を募集するのは必ずしも得策ではありません。DIY型賃貸として入居者募集をすれば、物件のメンテナンス費用も少なく済むだけでなく賃料収入も増えますので、中途半端なリフォームをするよりもよい利回りが実現できる可能性があります。

ボロ物件では多数派を取り込むのではなく少数派を集客すべき

ボロ物件の入居者探しでは、新築や築浅物件を探している多数派の中から集客するのは難しいです。ボロ物件を大化けさせたければ、新築、築浅物件とは違うアピール方法や契約を工夫すべきです。

部屋や建物よりも住むエリアを重視している人、部屋を自分で模様替えしたいという人は、少数派ながらも確実に存在します。これら少数派に物件を見つけてもらうには、分かりやすいアピールが必要不可欠です。実際、ボロ物件を購入して、創意工夫で周囲が驚くような安定した高利回りを実現しているオーナーもいますので、そうした方の事例を参考にチャレンジしてもよいでしょう。(提供: 不動産投資ジャーナル

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