メッセージアプリが次々と決済機能の搭載を開始

従来は銀行を介したり現金で行わなければならなかった決済を、より手軽によりシンプルにする仕組みが登場してきている。iPadなどのタブレットにアプリを取り込み、読み取り機を接続させるだけでクレジットカードで決済できるようにする、いわゆる「モバイル決済」などだ。

新たな決済のカタチを作り出しているのはこのモバイル決済。ただ、支払をより容易にしていこうという取り組みは、ほかにもいろいろある。例えば、ソーシャルネットワークサービス(SNS)のfacebookや、メッセージアプリを中心とした「LINE」が、メッセージアプリの中に、支払いを行う仕組みを取り込もうとしているのだ。

Snapchatなど、ほかにも決済機能を搭載しているメッセージアプリは増えてきており、支払いツールにもなるコミュニケーションツールの増加していく動きが始まっている。そこで、メッセージアプリ・ツールと組み合わせた決済システムの仕組みの何がポイントなのか、そして未来像を、さまざまなサービスの例とともに追いかける。

SnapchatはSquareと連携

まずはSnapchatだ。2013年12月時点すでに、世界中で6000万人がダウンロードしている人気の画像・動画共有アプリで、2014年11月には、送金サービス「Snapcash」が米国内でスタートしており、メッセージアプリ決済で先行していると言っていいだろう。

他方で、同社の決済の仕組みは、Snapchatと、外部サービスを連携させて実現したものだ。Snapchat社は、同サービスを実施するにあたって、モバイル決済サービスのSquareと協力。メッセージアプリで決済を行う仕組みを開発・導入した経緯がある。

つまり、Snapcashの仕組みそのものは、Squareの支払いプラットフォーム上で処理されているということで、Snapcashそのものも、Squareと共通した決済の仕組みを持つのだ。

Snapchatで決済を使う方法は具体的には、次の通りだ。ユーザーはあらかじめ、Snapchatにビザやマスターカードといったデビットカードの情報を登録。実際に送金する際には、メッセージに送りたい金額を打ち込んで「送信」すれば、それだけで支払いを行える。別の言い方をすれば、Snapchatで、写真や動画を共有する感覚で、送金などの決済処理を行ってしまえるのだ。

facebookはメッセンジャー決済を独自開発か?

ほかにも、大きな人気を誇るSNSのfacebookが、メッセージアプリに決済機能を搭載しようとしているのだ。コミュニケーションを助ける巨大なプラットフォームになっているfacebookだが、最近、メッセージ機能を切り出して、独立したアプリとして展開するといった取り組みも進めており、同社のメッセージアプリの今後を占う上でも重要な動きだといえそうだ。

同社のアプローチが他社と大きく違うところは、他のモバイル決済サービスと共同で行うのではなく、自社でその仕組みを開発し、アプリに埋め込もうとしているところだ。さらに、すでに明らかになっているところでは、オンラインでの決済だけではなく、リアルな店舗での買い物の決済にも、メッセンジャーを活用して決済できるような体制の整備を目指す構えだ。

facebookのメッセンジャー決済については、仕組みそのももは、Snapchatと同様だという。Snapcashについての説明でも触れたように、ビザやマスターカードといったデビットカードをメッセンジャーアプリに登録しておけば、使えるようになる。友人への送金ももちろん可能で、同アプリに組み込まれた支払機能を起動し、送金したい金額を設定すれば、決済できる仕組みだという。

LINE Pay のポイントは豊富な連携先

では、同じく大手SNSであるLINEはメッセ決済に対してどういったアプローチを取ろうとしているのだろうか。

LINEはすでに、「LINE Pay」として、メッセージアプリに付加した決済機能を提供している。クレジットカードと連携させて加盟店での支払いに活用したり、LINEの友達に送金して割り勘の支払いをしたりすることもできるという。

他方で、LINE Payは、Snapchatの決済機能であるSnapcashや、facebookのメッセンジャーアプリの決済と異なり、デビット・クレジットの両方のカードを登録して、決済に使用することができる。さらに、LINEの決済の仕組みには、カード支払い以外とも連携できる特徴がある。その一つが「チャージ」で、LINE Payのアカウントに予算を積み立てておくことで支払いに活用できる、「プリペイド」のような機能だ。コンビニエンスストアの店頭支払や、登録しておいた銀行口座からのチャージもできるという。

同社は決済機能の強化を図り、ほかの取り組みも進めている。カード会社であるJCBと協業し、国内3000万か所で利用可能な「LINE Payカード」を発行しており、LINEの決済機能のラインアップも拡大している様子だ。

ちなみに、「LINE Payカード」そのものは、クレジットカードやデビットカードではなく、まさにプリペイドカード。クレジットカードと異なり、取得に審査が必要ないこともあり、利用開始後3日で応募が10万件に達するなど、利用が今後、急拡大しそうだとみられている。

Snapchat、facebookメッセンジャー、LINEとそれぞれのコミュニケーションツールでの決済機能の仕組みを見てきた。それぞれ異なる点はあるものの、ビザやマスターカードといった既存の、よく信頼された決済の仕組みと上手く連携しているところだ。

既存の決済方法を使うことによって、信頼性を担保すれば、より多くの利用者に使ってもらえるかもしれない。仮想通貨ビットコインなどの新しく世の中に誕生した決済方法ではなく、馴染み易いとも言えるかもしれない。

いずれにせよ、「FinTech」としてより受け容れられ易い決済プラットフォームになっていくかが、今後SNSがメッセ決済をさらに進めるにあたってこのあたりのことがキーポイントとなるだろう。(ZUU online 編集部)