タックスヘイブン
(写真=Thinkstock/Getty Images)

機密情報の流出がかつてない規模で発生した。4月の上旬に顕になった「パナマ文書」だ。パナマに拠点を置く法律事務所であるモサック・フォンセカの内部文書がリークされたもので、英国のデビッド・キャメロン首相の親類や、アイスランドのシグムンドゥル・ダヴィド・グンロイグソン首相がパナマをタックスヘイブンとして活用していたことから、大きな話題になった。

「パナマ文書」の影響力はただし、社会的な注目を集めるにとどまらなかった。すでに、シグムンドゥル・ダヴィド・グンロイグソン首相が辞意を表明するなど、国家首脳の去就にも直接的に影響。大きな破壊力を秘めていたことが明らかになっている。

しかし、巷間で大きな話題になったこのタックスヘイブン。大きな権力をふるう国家首脳や大規模な企業だけが恩恵を受けられるのだろうか。また、オフショア法人設立やなど、パナマなどをサラリーマンも活用できないのか。サラリーマンにとってのタックスヘイブンの、有利な使い方がないか、探索する。

「タックスヘイブン」とはそもそも何なのか?

タックスヘイブンは「租税回避地」のことで、投資への規制が少なかったり、一定の条件を満たせば投資利益への課税がほとんど無かったりするなど、投資や資産運用をするにあたって、有利な制度が領域内で運用されているなどの特徴がある。ほかにも、他国への情報開示が少なく、節税に活かすこともできると言われている。

投資を行う上で、タックスヘイブンを使えば有利になるとはいえ、リスクが全くないわけではない。その一つが、「租税回避行為」に対する追徴課税だ。つまり、投資や資産の運用をタックスヘイブンを活用しても、取り引きによっては追加的な納税を求められかねないのだ。

ちなみに、「租税回避」とは、合法ではあっても経済的合理性のない、不当な税負担の軽減を狙う行為を指しており、グローバル企業が巧妙に税逃れを図っていることから、国際的にも問題視されてきている。

実際に、Googleが税逃れの指摘を受けるなど、影響も大きい。具体的には、英当局がGoogleに対して、過去の納税額について過少だと指摘し、両者の間で不足分を納税する合意が成立した経緯もある。アノ手コノ手で納税額を圧縮してきた企業の節税対策も、批判の強まりに応じて戦略の見直しが迫られていると言ってよさそうだ。

また、日本では「タックスヘイブン税制」により、合理性がないタックスヘイブンでの利益には日本の税率が適用される。避けるためには、事業が実際にタックスヘイブンで行われている等の要件を満たし、合理性を持たせなければならないという。

重要なのは、「居住地」という概念だ。日本では、国内に居住地がある場合、世界のどこで得た所得であっても日本で申告し、日本の税率で納税する必要がある(全世界所得課税という)。つまり、納税者の居住地が日本であれば、タックスヘイブンで得た利益についても、結局、日本政府から課税されてしまう構造があるのだ。

オフショア会社の設立は意外にカンタン

ただ、打つ手が何も無いわけではない。国内での課税を避けるために、現地に法人を設立する方法と、居住地を変える方法があり、それぞれ以下で見ていこう。

タックスヘイブン活用の最初の方法は、「オフショア会社」の活用だ。そもそも、個人では税負担軽減の租税回避地のメリットを生かせない可能性もあり、5000万円以上の海外資産を持つ日本居住者は毎年税務署に「国外財産調書」を提出し、海外資産の全容を税務当局に明らかにしなければならない。オフショア会社があればこうした点を回避できるのだ。

例えば、オフショア法人で資産運用をし、そこで得られた運用益はタックスヘイブンにおいて非課税となり、個人にも帰属しない。つまり、日本での税金が基本的にはかからないのだ。注意しなければならないのは、「タックスヘイブン税制で、は個人で設立した法人に関しても規定されており、国内税制の適用を受けない工夫をしなければならないことだ。

さらに、オフショア会社の設立そのものは、必要書類を集めるだけで渡航が不要なこともある。他方で、法人の維持手続きなども必要となるため、代行業者に依頼して、「安心」して活用できる環境を整えることも一つの方法だ。必要な費用としては、資本金のほか、国や地域への事務手数料や代行費用といった初期費用で数十万円というところが多いという。

また、国や地域によって毎年の会計監査や税務申告の有無といった制度が異なり、もちろん維持費用もかかることには、注意が必要だろう。

サラリーマンがタックスヘイブンを活用するメリットとは?

それでは、サラリーマンとしてタックスヘイブンを活用することはできるのだろうか。基本的には、居住地を容易には変えられず、選択肢は多くないのが現状だ。

他方で、退職後に転居するケースでは、活用する余地があるだろう。つまり、退職後、タックスヘイブンに転居し資産を運用するということで、居住地が変わればもちろん日本の税制は適用されない。そうした制度を最大限まで活用すれば、決して小さくない節税効果を得られるといえそうだ。

具体的には、退職金総額から一定額を差し引いた額を「退職所得」といい、その10%が翌年の住民税額となる。だが、退職後にタックスヘイブンに転居するシナリオを視野に入れれば、住民税についてもメリットを得られるかもしれない。特に、退職金が多額の場合は住民税額も多額になるため節税効果も比較的に高いといえる。

ちなみに、住民税は各年1月1日に居住していた地域で課税されるため、年初に国内に住所がなければ住民税は課税されないのだ。海外に在住している日本人は、住民税を払わなくてもよいことを想像すれば、理解しやすいだろう。

「パーペチュアルトラベラー」と究極の節税術

最後に「居住地」をキーワードにより高度な節税の方法を紹介しよう。日本国内に居住地があれば、日本が全世界所得課税方式をとっていることから、日本に居住地があれば世界のどこで得た利益でも日本で課税される点に注目したやり方だ。

すでに述べた通り、海外に転居していれば、住民税の課税対象になるか、ならないかという違いがある。加えて、国外に出れば、国や地域ごとに課税する条件が異なり、それに従ういつつ、「居住地」の要件を見極めるのだ。

具体的には、居住地の要件として「年間の半分(183日)以上滞在した場合に居住地とする」という場合もあり(183日ルール)、仮に3カ国に120日強ずつ滞在していれば、特定の国に居住地を持っていないことになる。また、税金が殆どかからない国を居住地としながら実際の活動は複数の国や地域で、という場合も税負担は少なくなる。

特定の国に居住地を持たなければ、「パーペチュアルトラベラー(永遠の旅人)」だと言える一方で、最近の言い方では「ノマド」と呼んでいいのかもしれない。仕事をする国、バカンスをする国、などと分けて世界を転々とすることで、節税を追求する究極のスタイルではないだろうか。

サラリーマンがパーペチュアルトラベラーやノマドにすぐになるのは難しい選択肢かもしれないが、ある程度の財力と、場所に縛られない自由度のある仕事を作り出せれば、究極の節税スタイルを築き上げられる可能性もゼロではないだろう。(ZUU online 編集部)

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