国連発表の「2016年版世界幸福度報告書」で昨年46位だった日本が、53位まで順位を落とす結果となった。

1位はデンマークで、わずかな差で2位のスイスを押さえトップに返り咲いた。157カ国のうち最下位となったのは民族対立の続く中部アフリカのブルンジ、同じく内紛の渦中にあるシリアは156位だった。

日本・韓国は順位を落とし……理由は「社会的支援」?

上位10カ国の構成はほぼ変わらず、西欧の中小規模国を中心にランクインしている。アジアでは、日本だけでなく韓国も47位から大きく順位を下げ58位となった。

今回の日本の順位が下がったのは「社会的支援」の項目がダウンしたことが大きい。調査では東日本大震災を例に挙げていて、福島では不思議なことに大震災の時にもともと高かった信頼度や幸福度がさらに上昇している。大災害に被災者同士で助け合えたことがストレスを和らげたからだ。だが、震災から5年が経った今も、故郷に帰れなかったり、仮設住宅を出られなかったり、支援がなかなか進まない状況が支援への満足度を下げた。

韓国のランクダウンも、経済が上向かないことや2014年に沈没したセウォル号の引き上げ延期などで政府に不満や不信感が増している点は関係しているだろう。

幸福の国ブータンの揺れる「幸せの定義」

「国民総幸福量」という指標で話題になったブータンも、79位から84位に順位を下げている。順位の低さは世界平均よりもだいぶ低いGDPの影響が大きい。一方で、人々の幸福度にばらつきは少ない=平等な国と評価されたものの、国内では格差が広がっているようだ。

都市部とそれ以外の地域で、受けられる教育・就ける仕事などの差が不満につながっている。他にも伝統的な生活を送ってきたところに電化製品が加わって、もっと快適な生活をしたいと色々な欲が出てくるなど、現状に不満を持つケースが増えたようだ。国内で生まれる不満は世界の他の国とあまり違いはないようだ。