(写真=Thinkstock/Getty Images)
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あなたは、今の給料に満足しているだろうか?

そう聞かれて、おそらく「はい」と答える人は何人もいないだろう。日本経済の不透明感が増している現状では、普通に考えてサラリーマンの給料が上がる見通しは暗いといわざるをえない。

その理由の一つとして、従業員の社会保険を会社が半額負担していることが挙げられる(負担条件に満たない従業員を除く)。こうした経費は、今後も増えることはあっても減ることはない。それがわかっているから、会社もおいそれとは給料を上げられない現実がある。

サラリーマンが稼げないわけ

もはや「サラリーマン」という職業で「給料を増やそう」と思うこと自体が、正しい考え方といえるのかどうか疑問が残る。それは目先の景気云々よりも、サラリーマンというシステム上の問題だ。

そもそも、サラリーマンの給料が安定しているのは、成績のいいときと悪いときの差が出ないように、会社側で給料をならして支給しているからである(歩合給の人を除く)。また、会社はチームで成り立っており、いい成績とは自分一人で上げたものではない。会社の給料とは、そうした陰で支えている人とみんなで分かち合った結果、決まっている。

経済全体が成長しているようなときでもない限り、サラリーマンとはもともと給料が上がっていかない仕組みである。だから今後はますます外注や委託、あるいはプロジェクトごとに契約を交わす雇用形態が増えていくだろう。

にわか投資家がうまくいかない理由

給料が増えていかない現状を反映して、最近はサラリーマン投資家がますます増えてきているが、方向性としては正しい。サラリーマンは副業するにしても時間的な制約があるので、その点で投資は相性がいい。しかし筆者が見る限り、安易な投資をしている人があまりにも多い。

よく見かけるのが、投資案件そのものよりも、案件の紹介者の人柄で決めている投資家である。「この人の紹介する案件なら大丈夫だろう」で選んでいては、博打をしているのと何ら変わらないことになる。

■投資する際に持つべき2つの指標

では、投資をする際に気をつけるべき点とは何か。それは以下の2点である。

1.事業リスク
2.信用リスク

1の事業リスクとは、「事業そのものに将来性があるのかどうか」「きちんと収益性のあるビジネスモデルになっているか」「謳っているリターンが本当にその通りになる見込みがあるのか」などである。

事業リスクについては、注意している人も多いだろう。しかし、2の信用リスクまでは注目していない人が大半なのではないだろうか。

②の信用リスクとは、その案件の運用元が自分の大切なお金を預ける「預け先として相応しいのかどうか」を見ることである。

デューデリジェンスという言葉をご存じだろうか。略してデューデリなどというが、その案件が本当に信用できるものなのかどうかを裏付け調査することである。紹介者や案件の将来性はもちろん大事だが、一番大切なのは、自分のお金を回してくれる運用元が信頼できるかどうかだ。

■投資で騙されないために

ここで実際の詐欺事件を見てみよう。

2016年3月、あるワイン投資ファンドが破綻した。約520人が被害を受け、負債総額は40億円を超える見通し。運用元が値上がりを見込んだワインを輸入、熟成後に売却して利益を配分する仕組みになっていたが、運用に失敗した損失を隠すために在庫数や取引内容をごまかしていた。発覚時、ワインの在庫は1億円分しかなかったという。

この場合の信用リスク対策としては、「ファンドの決算書にウソはないか」「在庫が申告通りなのか」「専門家をチームに入れる」などが考えられる。

本来、デューデリジェンスには莫大なお金と手間がかかる。こうしたことを個人で行うには限界があるため、通常はある程度、信用のおけるところを通じて投資をする。しかし、中には「有名な投資家が勧めている」というのでその商品を買ったら、紹介者本人が騙されていたといった事態に出くわす。原因は、デューデリが不足していたからである。詐欺事件とは、事業リスクよりも信用リスクが原因であることの方が多いのである。

もともと投資の世界に、リスクのないリターンなどありえない。投資のプロでさえ、確実と思って投資をしても、事業リスクに関しては、実際にうまくいくのはそのうちの6割ほどだ。なぜなら、市場の動きは人間の思うようにはいかないからである。

だが信用リスクであれば、出されている情報の矛盾を追求すれば、ほぼ防ぐことができる。それを自分でできないのであれば、つてを頼りに信用のおける紹介元を探すしかない。たまに自分から預けておいて、損が出たら紹介者のせいだといわんばかりに怒っている人を見かけるが、その人を信頼して任せたのが自分であることを忘れてはならない。

自分の大切なお金を投資する以上は、十分に納得した上でお金を預けることが肝心なのである。事業リスクで損をするのは投資に付き物だが、信用リスクのほとんどは回避できるものなのだから。

俣野成敏(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。