ユビレジ,FinTech,iPad,POS
レシートプリンターとキャッシュドロワーが一体になった最新型レジ(画像=ユビレジ提供)

営業と開発は対立しないのか? ヘッドハンティングはしない

FinTechスタートアップに限ったことではないが、とかく企業内では営業と開発・制作は対立しがち。それぞれ求めるものが「売れるもの」「作りたいもの」で、致し方ないことなのだろうか。この点についても尋ねると、迷いのない答えが返ってきた。

「ユビレジが目指しているのは店舗の効率化であり、店舗オーナーの満足度の追求です。そのゴールははっきりしているので、やることは違ってもチームとしては同じ方向を向いている。営業は数字を上げること。開発はお客様に満足してもらえるプロダクトを作る。役割分担ができていると思います」

採用は紹介のほか、Webメディア経由が多いといい、来期は開発、営業それぞれで5人程度採用する考えだとのこと。いわゆる“一本釣り”スタイルでの採用はないのだろうか。

「たとえばイベントに行ってそこで一本釣りというようなことはしませんね。ヘッドハンティングはしません。ユビレジ的な人とは真逆の人ということもあるので。ただユビレジで働いているエンジニアからの紹介は重視しますね。紹介は信頼度が高いと考えています」

人材の評価制度については、以前は1on1でやって、所属の長が評価を判断していた。その評価の結果を経営会議で評価していたという。ただ現在、その評価の仕組みを見直しているという。

「新たな評価軸については話し合っているところです。コンピテンシー的な評価、会社の経営理念、メッセージ的なことをどれだけクリアにできるかと話を進めています。たとえば営業だと数字がすべてではあるのですが、そこにコンピテンシーという評価を入れて、会社の人事ポリシーに沿った行動ができているか、というところも見る。ただ作り込みすぎると評価のために行動が変になってしまうので、その点は気をつけて柔軟にしようとしています」

盛り上がるフィンテック業界で活躍できる人物像

昨今、FinTechが盛り上がっている。今後、金融、ITそれぞれの業界から、優れた人材が流入してくるはずだ。今この分野ではどんな人が求められているのだろうか。

「ITとファイナンスをヒモづけて物事を考えられる人。いまは発想が生まれて現実のものになり、なくなっていく、そのサイクルが非常に早いので、変革のスピードについていけるような、柔軟性を持った人が活躍できると思います」

たしかにそういう人物は活躍できそうだ。しかしそう意識したところで、日々大量の業務がある中で忙殺されてしまう人も少なくないはずだ。モチベーションを保つにはどうしたらいいのだろうか。

「何の為に仕事をしているのかをはっきりとさせておくことです。自分のためなのか、会社のためなのか。『自分はどうなりたいか』を考えると、たとえ忙しくても、『いつまでにどうやってそうなろう』と自分自身の中でストーリーを立てることです」

ユビレジは今年3月、飲食店向け予約/顧客台帳サービスを提供するトレタがリリースした、POS(販売時点情報管理)システムとのデータ連携を可能にするサービス「トレタPOSコネクト」との連携を発表した。

「トレタ」とは、電話やweb、店頭などさまざまな経路から入る来店予約情報を一元管理できるサービス。予約状況を時間軸でテーブルごとに管理ができるので、効率的な店舗運営が可能になるほか、顧客情報や来店履歴もデータとして残せるという。

消費増税や、その延期が取りざたされているが、軽減税率の導入などもあって小売店はレジの対応をしなければいけない。軽減税率対策補助金が小売店に出るのだが、これを利用して店舗にiPadとPOSレジを導入してもらおうと、ユビレジではその申請の代行もしている。少しでも店舗の負担軽減につながるなら、アプリ開発とは違った価値の提供もする。そこにユビレジという会社の考えが現れているといえそうだ。

POSレジは便利だが既に登場から40年以上経過している。iPadを見たときに「これはレジで使える」と木戸氏がひらめいたことがサービス誕生のきっかけだ。同社はWebサイトで「サービスを開始した2010年から現在、社会はどのように変化したでしょうか。 そして、改めて今から10年後には、なにが必要でしょうか? 一緒に考えましょう。 (そして実装しましょう。) 」と呼びかけている。

その上で、「私たちが作っていくのは、ユビレジというサービスだけではありません。 今のユビレジは少人数の小さな会社であり、これから大きく育てていくべきものの一つです。 10年後のために、なにをやるべきでしょう? なにをやらないべきでしょう?」と問いかける。

衣類や生活必需品を買ったり、食事をしたりと暮らしの中で「お店」はとても身近で欠かせない存在だ。「FinTech」「フィンテック」と聞くと、どこが縁遠い存在に思う人がいるかもしれないが、私達が利用しているあの店やこの店も、実はこのユビレジというFinTechサービスが支えているのかもしれない。

ユビレジ,FinTech,iPad,POS
株式会社ユビレジ
本社:〒151-0051 東京都 渋谷区 千駄ヶ谷 3-59-4 クエストコート原宿
代表取締役:木戸 啓太
資本金:1億9580万6897円
iPadを活用したSaaS型POSシステム「Ubiregi (ユビレジ)」の開発・提供。ユビレジは店舗で使うiPadとそのアプリ、Webサービスの2つの要素で構成されている。ユビレジアプリをインストールしたiPadを、店舗でレジとして使用。売上の情報はインターネットを経由してWebサイトから確認できる。

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