kadokawa

14日にKADOKAWA(9477.T)とドワンゴ(3715.T)は10月1日に共同持株会社であるKADOKAWA・DWANGOを設立する形での経営統合を発表しました。KADOKAWAは「テルマエ・ロマエ」等のヒット映画や書籍、ゲーム等のコンテンツに強みがあり、一方ドワンゴは若者に人気のインターネット動画サービス「ニコニコ動画」を手掛けています。コンテンツと動画メディアに強みを持つ企業の統合で、日本の映像コンテンツを海外に配信する「クールジャパン」戦略の有力な担い手になる可能性があります。なお、経営統合後の持ち株会社の社長はKADOKAWAが出し、ドワンゴも代表取締役を出す方向で調整しています。

今回の統合によってKADOKAWAは映画、アニメや書籍の出版、ゲーム等の多様なコンテンツを4000万人弱の会員組織を持つドワンゴのネット配信サービスとノウハウを活用することができます。また、ドワンゴは会員が増える中コンテンツの量、質の拡充が課題でしたが、KADOKAWAのコンテンツを活用でき、双方が補完しあうことで相乗効果が見込める経営統合とみられています。株式市場もこのニュースを好材料と受け止め、KADOKAWAとドワンゴの株価はこのニュースが報道された14日に大きく上昇しました。

従来のテレビ等のメディアに代わり、今後インターネット動画配信の重要性が高まることは明白でしょう。そうすると、如何に視聴者数の多いメディアを押さえるかがが重要になってきます。ニールセンの調査によると、日本でPCからの視聴者数の多いメディアは、

1位:YouTube(Google:アメリカ)
2位:Yahoo!Gyao(Yahoo)
3位:niwango(ドワンゴ)
4位:FC2 Videos(FC2 inc.)
5位:Dailymotion(Dailymotion:フランス)
※(カッコ内は運営会社)の順です。

この中で第3位のドワンゴをKADOKAWAはグループに収めたということは先見の明があったと言えると思います。業務提携によりKADOKAWAはドワンゴの12.23%を保有する大株主でしたが、日本テレビ及びNTTもドワンゴ株の4.99%を保有しており、コンテンツ配信のプラットフォームとして重視していたことが伺えます。また、NTTドコモもKADOKAWAの3.78%を保有している大株主であり、dマーケットやマンガストア等のコンテンツ配信に力を入れていることから、恩恵を受けると思われます。

一方、USENは2005年に動画配信サービス「Gyao」を立ち上げていますが、2009年4月に手放し、現在GyaoはYahoo傘下に入っています。現在のGyaoの株主はヤフーが58%でTop、フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、電通が7%ずつ、テレビ東京が4%と博報堂DYHDが3%となります。

KADOKAWA、ドワンゴ、Gyaoの株主構成を見ると、KADOKAWA-ドワンゴ―ドコモ連合、TV局-Gyao-ヤフー、ソフトバンク連合、という流れになっています。特にGyaoについては、TV局が軒並み出資していますが、TV局独自で持つ動画配信サイトとの棲み分けから、今後出資比率を下げるTV局は出てくると思います。また、KDDIは動画配信プラットフォームを所有しておらず、自社で保有しに行くのか、YouTube等との提携強化を模索するのか、選択を迫られている状態です。今後も提携やM&Aが起こると考えられますが、TV局とKDDIが鍵を握るのではないでしょうか?

Photo: オタク.com