従来、最低でも月3~4万円かかっていた税理士への顧問料を「月額2980円~から」と破格の安さで提供している企業があります。税理士代行サービスのビズグラウンドが展開している「クラウド士業顧問Bizer(バイザー)」です。Bizerでは、通常は税理士一人あたり100~200社を担当するのに対し、同社では「士業の空き時間をITで効率的に活用」した結果、コスト削減が可能になったということです。 税理士顧問料を安く提供するところが現れた要因としては、ITの活用だけではなく、税理士の登録者の増加もあります。弁護士や公認会計士の資格を持っていれば自動的に税理士資格が付与されますが、リーマンショック後に大手監査法人が採用を絞り込んだ結果、公認会計士が税理士に転進するケースが増え、税理士数がここ5年で4%ほど増加しています。税理数の増加も、顧問料価格破壊の原因であると考えられます。
Bizerのビジネスモデルは「ITの活用により効率性を上げ、結果提供するサービスの価格を下げる」というものですが、このようなビジネスモデルを採用した先駆者として、ライフネット生命があります。ライフネット生命では、インターネット販売に特化して保険外交員に払う膨大な経費を節約することで保険の価格を下げるというビジネスモデルを採用しています。結果、ライフネット生命は通常企業の売上高に相当する経常収益を順調に伸ばしていますが、純利益ベースでは赤字であり、収益を上げる段階までには至っていません。
また、ITを使い効率的に空き時間を使うビジネスモデルとして主婦などに在宅でできる業務を依頼するクラウドソーシングがあります。例えば、ランサーズ株式会社による「lancers.jp」や株式会社クラウドワークスによる「crowdworks.jp」がクラウドソーシングのマッチングサイトを運営しています。また、世界中の翻訳者ネットワークを活用することで低コストかつ迅速な翻訳サービスを提供する「Conyac」を提供する株式会社エニドアもあります。
クラウドソーシングの市場は注目を浴びております。現行はベンチャー企業を中心として何点かのサイトが乱立する状態ですが、掲載企業数が多いものの方が受注者、発注者にメリットが大きいため、今後淘汰と寡占化が進むものと予想されます。その際に、上場を行う企業も出てくるのではないでしょうか?