(画像= Nissan USA)
(画像= Nissan USA)

いよいよ試乗!五感を総動員してチェックする

最終候補を絞ったら、実車を見にいってみよう。たとえ遠方でも必ず見に行くこと。画像だけでは分からない部分がたくさんあるからだ。

実車を見ると、想像していたよりも状態が良く見えてしまうものだ。ショップでボディをキレイに保っているし、なにより憧れの名車を目の前にすると「運命の出会い」を感じてしまい、チェックが疎かになりがちだ。ここは気を引き締めて臨もう。

バンパー、ホイールハウスなど、キズがつきやすい部分からはじめて、ボンネット、トランク、ドアなど開けられる部分を開けてみて、溶接の跡やひずみがないか「懐中電灯」で照らして確認する。エンジンルームでは、オイル漏れに注意しよう。カムカバーの下やインジェクターの周囲は入念に。ゴムの劣化や部品の調達状況も確認しておきたい。

サビのチェックも重要だ。まず、ボンネットやトランクの中、内装のフロアマットをはがし「懐中電灯」で照らして確認する。次にリフトでクルマを上げてもらい、下回りを「懐中電灯」で隅々まで照らして入念にチェックしよう。

「クルマの声」に耳を傾け、心で対話する

いよいよ試乗である。エンジンの吹け上がり、異音がしないか、MT車のクラッチのすり減り、シフトのショック、ステアリングの異音など、実際に乗ってみなければ分からないことがたくさんある。何よりも大事なのは五感を総動員することだ。「クルマの声」に耳を傾け、心で対話するようにチェックしよう。

繰り返しになるが、憧れの名車のハンドルを握ったとたんに舞い上がってしまわないように注意すること。往年の名車は、現在の新車では味わうことのできない「ワクワク感」が最大の魅力なのだが、テンションが上がりすぎて細かい異変を見落としてしまわないように心がけたい。

可能であれば複数のショップを見て回ることをお勧めしたい。大切なのは経験を積みながら「見る目を養う」ことだからだ。休日などを利用して、自分だけの一台を求めて全国各地のショップを訪れるのも、宝探しの冒険にも似てなかなか楽しいものである。じっくりと時間をかけて「めぐり逢った一台」は、それだけ喜びも大きいはずだ。

「旧車いじめ」もいい加減にして欲しい

ところで、日本では新車登録後13年を経過したクルマには、より重い自動車税を課して新車への買い替えを後押ししている。表面的には環境に配慮しているという名目で、燃費の良いクルマに乗ろうという機運に見えるが、クルマをスクラップにすることは環境へのダメージがないのか、また、製造時に出るCO2排出量については言及がないのかと不条理な気持ちになる部分もある。

米国ではクラシックカー登録制度があり、25年以上経過しているクルマは排ガス検査なしで輸入できるほか、様々な優遇措置がとられている。欧州でもドイツ、英国、イタリア、フランスなどでは、ヒストリックカーの自動車税の優遇や、自動車保険の減額が設けられている。

欧米では往年の名車を敬愛し、大切にする文化が育まれているのだ。日本も優遇しろとまでは言わないが、「旧車いじめ」もいい加減にして欲しいものである。(ZUU online 編集部)