東京メトロが2016年にも上場する。そんなウワサがあります。もし民営化して上場すれば、東京メトロの鉄道収入は私鉄最大!
交通関連株は“鉄オタ”からも根強い人気があるのですが、利益率の高い東京メトロは、鉄道以外の事業である「エチカ」などでも実績が高く、幅広い投資家から注目されている超優良企業なのです。現状、東京メトロの今年のIPOは厳しいかもしれませんが、準備するに越したことはありません。
東京メトロは早期上場を目指す
2004年、東京メトロは「帝都高速度交通営団(営団地下鉄)」から「東京地下鉄株式会社」 になりました。「東京メトロ」というのは愛称 です。その存在は東京地下鉄株式会社法(メトロ法)で既定されていますが、メトロ法では、できる限り早いメトロ法の廃止と株式の売却を求めています。
また、2016年度〜18年度の中期経営計画「東京メトロプラン2018」 では、経営方針の一つとして早期の上場を掲げています。東京メトロが年内中にも上場だと見られているのはそのためです。
東京メトロの上場が実現しない背景
実は、東京メトロの民営化については2009年以降、何度も話題に上っていますが実現には至っていません。それは、東京メトロの上場に対して、大株主である政府と東京都ですれ違いがあるからだと言われています。
東京メトロは、政府が53.4%の株を保有し、東京都が46.6%の 株を保有しています。株主に国や都道府県が入っていることは問題ありませんが、上場基準を満たすには、 全株数の35%を売り出す必要があります。従って、政府が単独で上場を進めようとすると政府株から35%の売却が必須となり、政府の持ち株は18.4%となってしまいます。
政府の方針としては、保有株の売却はできるだけ早く行いたいところでしょう。ただ、念願だった郵政3社の民営化と上場を昨年果たした政府の次のプライオリティーは「JR九州」にあり、「東京メトロ」はその次あたりだろうという見方が強いようです。
その「JR九州」の上場は2016年秋にも計画されているとの市場の見方があり、2016年最大の上場案件と言われていました。しかし、4月に発生した熊本地震の影響で、スケジュールは延期になっている可能性も強いと見ています。
猪瀬直樹前都知事時代に、東京都は政府に対して東京メトロと都営地下鉄の合併案を出していました。 営団地下鉄の上場より、まずは東京都に存在する2系列の地下鉄を一元化することにプライオリティーを置いていたのです。収益力が強くバランスシートも優れている東京メトロと、収益力が低く多額の債務を抱える都営地下鉄を合併することで、利便性と経営効率、どちらの向上も見込め、東京都の負担が減るためです。
東京都は、政府が保有する東京メトロ株の一部を買い増しして保有比率を上げ、東京メトロへの支配力を強めたい意向が強いと見られています。桝添要一都知事になって、この構想はトーンダウンしているようにも見えますが、東京都の意向自体が大きくは変わっているわけではなさそうです。
東京オリンピックを見据えると早期上場が得策か
2020年には東京オリンピックを控えています。都内をより便利に移動できるようにするには、地下鉄路線の拡張と改修工事事業は活発化せざるを得ない状況だといえるのです。 前述の「東京メトロプラン2018」では、16年度~18年度の3年間で過去最大の設備投資4200億円を投入するとしています。
その中で特に重点を置いているのが、自然災害対策などの安全面、シームレスな都心ネットワークによる輸送改善、駅の多機能化・バリアフリーの推進などで、さらに、独立行政法人・都市再生機構とともに、地下鉄日比谷線の新駅を港区虎ノ門地区に開設することも発表しています。 虎ノ門地区は東京オリンピックで選手村や会場などを結ぶバスターミナルが整備される予定であり、新駅は都心とオリンピック会場を結ぶ拠点として考えられているのです。
昨年12月の大会組織委員会の試算では、東京オリンピック、パラリンピックに必要な会場整備や大会運営費が約1兆8000億円に上ると報じられました。大会への立候補段階での見込みは約3000億円で、費用は当初の6倍に膨らんだことになります。
一方、東京都の支出予定額は、会場の新設などを含め1538億円でした。しかし、見込みを大幅に上回る試算が出された今、東京都の負担増も必至でしょう。
12年のロンドン大会でも、運営費が当初の見込みを大幅に上回る約2兆1千億円となり、多額の公的資金が投入されました。 こうした資金需要の高さを考えると、東京都も早期上場にスタンスを変えてくるかもしれません。
高収益な鉄道株、多角化事業も軌道に
ひとくくりに「鉄オタ」といっても、実のところ「撮り鉄」「乗り鉄」「駅弁鉄」などの有名どころをはじめ、36もの分類があるそうです。なかでも、鉄道会社についての研究や株の購入に楽しみを見いだすのが「会社鉄」。鉄道株は常に人気があるのです。
東京メトロが民営化すれば、鉄道収入において私鉄トップに躍り出ることになります。5月11日に発表された2016年3月期連結決算では、売上高4082億円(前年度比2.1%増)、営業利益は1014億円(同4.3%増)、営業利益率は25%と高収益でした。
鉄道以外の事業でも、不動産事業や流通事業「Echika(エチカ)」、車内広告、車両の全面ラッピング広告などの広告IT事業でも実績が高く、成長性が期待されています。
東京メトロに興味があるものの、IPOは未経験。そんな方は、この機会にぜひ、 こちら でぜひ勉強しておいてください。
(提供: DAILY ANDS )
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