不動産投資には、2つの収益が期待されます。1つは家賃収入などの「インカムゲイン」、もう1つは購入価格以上で売却した際に得られる「キャピタルゲイン」です。
バブルの頃、不動産投資で巨万の富を掴んだ投資家のほとんどが、キャピタルゲインで収益をあげていました。しかし人口減少社会に転じた今、全国の地価はほぼ値下がりか横ばいとなっており、ほんの一握りの物件以外ではキャピタルゲインを期待するのは難しくなっています。そのためこれからの不動産投資は、家賃収入で確実な収益を確保するインカムゲイン追求型の経営がカギとなります。また、これこそが不動産投資本来の姿であり、オーナーの経営センスがものをいう世界でもあるです。
それでは、賃貸経営を成功させる(失敗しない)ポイントについて考えてみましょう。
賃貸経営 3つのリスク
賃貸経営は、株やFXなどの金融投資に比べ、比較的安全で「ミドルリスク・ミドルリターン」といわれます。しかも経営が始まれば、ほとんど手をかける必要がなく、本業を圧迫することもないためサイドビジネスとしても極めて魅力的です。
しかし、それでもいくつかのリスクは存在します。これらのリスクを認識し、しっかりと対策を立てておくことが、賃貸経営を成功へと導くポイントとなります。では、リスク要因についてみていきましょう。
● 空室リスク
不動産投資で大きいリスクといえるでしょう。入居者が見つからない間の収入はゼロとなります。家賃収入を見込んでローンを組んでいる場合、ローンの返済がそのまま家計を圧迫してしまうのです。1、2か月で次の入居者が見つかればいいのですが、半年?1年と空室が続くようなことになっては、家計崩壊の恐れすらあります。
一般的な空室率は約3割といわれます。つまり、満室時の年間家賃収入の7掛けでも家計に食い込まない資金計画を立てておく必要があり、そのためには、何といっても自己資金の割合を高めることがポイントになります。
● 金利リスク
1,000万円単位のローンを組むことになる不動産投資では、金利がわずか1%上昇しても、年間数十万円の利益が吹き飛んでしまいます。現在はマイナス金利政策下でローン金利も極めて低く設定されていますが、変動金利の場合はいずれ金利が上昇していくのは避けられません。
現在の超低金利でギリギリ利益が残るような収支計画では、マイナス金利政策が終わった途端に赤字に転落してしまう恐れがあるのです。目いっぱい融資を受けるのではなく、できるだけ自己資金の比率を高めておくことが肝要です。
● 管理リスク
建物は年々劣化してゆきます。これを放置しておくと物件の荒廃や入居者の質の低下などを招き、収益性が急速に悪化します。これを回避するには、適切な管理が重要です。
賃貸管理には、建物や敷地の管理と入居者の管理の2つがあり、両方を適切に管理することが長期安定経営のポイントです。また賃貸管理には専門知識と幅広いノウハウが必要なので、信頼できる管理会社に委託することが重要となります。経験豊富な管理会社なら、入居率アップにつながる修繕やリフォームを行ったり、入居率を上げるためのキャンペーンを提案してくれたりと、積極的に経営をサポートしてくれます。管理の良し悪しが、経営の成功を大きく左右するのです。
自己資金の比率を高め、余裕のある収支計画を
数十年にわたって続けることになる賃貸経営では、その間にさまざまな環境変化が起こります。オーナーがその変化に耐えることができるかどうかは、経営の余力にかかっています。つまり、余裕のある収支計画を立てることが大切です。
収益に余裕があれば、30%の空室が生じても赤字に転落することはなく、修繕費を計画的に積み立てておいて建物の美観を保ち、良質な入居者を確保していくことも可能です。そのためには、自己資金の比率を高めて、最小限のローンで賃貸経営をスタートすることが鍵になるのです。
まとめ
賃貸経営が成功するかどうかは、実はそのスタート時点で決まります。いくら安い物件でも、入居者にとって魅力がなければ、空室に悩まされます。いくら良質の物件でも、管理が悪ければ、やがて建物や住環境が荒廃し、質の悪い入居者のたまり場になりかねません。
良質な物件をしっかりと目利きし信頼できる管理会社に管理を委託すること、そして自己資金の割合を高くすることで余裕のある収支計画を作ってから賃貸経営に乗り出すことが、不動産投資家に求められる基本姿勢といえるでしょう。(提供: 不動産投資ジャーナル )
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