日経平均株価は、6月に入って再び下落基調を強めており、国内個人投資家には頭の痛い値動きだ。株式投資は、基本的に買いから組み立てる投資であり、下落局面では資産を守り、増やす術はなく、自ずと個人投資家の資産内容が悪化する。
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相場の下落時に利益を上げるためには
株式市場における下落は、企業業績の悪化や市場参加者の先行きの悲観によって形成され、相場に必ず一定の期間訪れる、避けては通れない時間帯だ。この時間帯は、通常の買いから入る取引では利益を上げることができない。
しかし、株式市場の下落相場でも、利益が出せる投資法はある。下落時には、売りから売買を組み立てるのだ。株式市場の信用取引や、225先物取引(225ミニ先物も含む)を活用すれば、売りから売買を組み立てることが可能だ。相場が下落すると思えば、最初に売りを行い、さらに価格が下がったところで買い戻しを行い、利益を上げる。株式市場においても、相場の下落時に利益を上げることが可能だ。
どうすれば売りから売買を組み立てられるか?
個人投資家は、どうしても先入観に縛られており、売りから売買を行うという概念を理解するのが難しい。また、信用取引や225先物取引は、従来の現物株取引と異なり、証拠金取引と呼ばれる、レバレッジ(てこの原理)が効いた取引方法であるため、ことさらに危険に感じてしまうものだ。
現物株取引で利益を上げるためには、上昇トレンドを認識して、上昇トレンド環境下で買いを行うことが有効だ。上昇トレンドを認識できるようになれば、同様に下落トレンドを認識できるようになるので、下落トレンドを認識した際には、信用取引や225先物取引を利用して、売りを行うのだ。
トレンドの認識には、一般的にトレンド系のテクニカル指標が有効であり、その代表格は移動平均線だ。移動平均線は、最もポピュラーなテクニカル指標であり、大抵の株価チャートに表示されており、あなたも一度ならず見たことがあるはずだ。この移動平均線をしっかり学ぶことで、トレンド認識が可能になり、相場の下落局面での売りが可能になる。下落トレンドを認識した時には、信用取引や225先物取引を利用して、売りを行えば良い。必要以上に難しく考えすぎず、売買に必要な要素を1つずつ確認して、身に着けるのだ。
証拠金取引は、保有資産の数倍以上の資金に相当する売買が可能になることから、リスクが増す側面はあるが、適切な資金管理術を身に着けることで、一定のリスクコントロールが可能になる。ここでも、必要な技術を確認し、準備すれば、意味もなく怖れる必要はない。あなたが本気で、相場の下落局面において利益を上げたいと思えば、資金管理術やトレンドの認識方法を学び、信用取引や225先物取引で売りを行うことで、それは十分に可能だ。
売りが苦手な投資家に心強い金融商品とは
トレンド認識を身に着けたとしても、売りから入るという概念が分かりにくい人はいるはずだ。何かに対する感じ方は人それぞれであり、いったん定着した概念を、簡単には消し去ることはできない。しかしそんな人も、心配する必要はない。現在の株式市場には、相場全体が下落している局面でも、買いから利益を上げることができる金融商品がある。それが、VIX指数先物や、ベア型ETFだ。
VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所が作り出した「ボラティリティ・インデックス」の略称であり、別名「恐怖指数」と呼ばれている。相場の下落局面下では、投資家の恐怖心理が投げ売りにつながり、ボラティリティ(価格変動率)が大きくなり、このVIX指数が高くなるので、このような呼ばれ方をしている。
VIX指数は相場の下落に合わせて、その数値が高くなる性質を持っており、下落局面において、VIX指数先物を買うことで利益を上げることができる。日本で取引できるVIX指数先物としては、日経平均VI先物などがある。日経平均株価が下がる局面で、日経平均VI先物を買っておくと、利益が上がる可能性がある。
ベア型ETFは、対象とする株価指数と逆の連動をするように設計された、別名「インバース(逆の、反対の)型」とも呼ばれる上場投資信託(=ETF)だ。相場では、ベア(Bear=熊)は弱気のことであり、熊が前足を振り下ろす仕草、あるいは背中を丸めている姿から相場が下落していることを表す言葉として使われている。ベア型ETFは、相場の下落局面において、逆に価格が上昇する性質を持っているので、買いから入ることで利益を上げることができる。
あなたがどうしても売りから入る売買を苦手とし、それでも相場の下落局面において買いから入って利益を上げたいと思えば、VIX指数先物やベア型ETFを買うことで利益を上げることができる。VIX指数先物やベア型ETFにも、それぞれにレバレッジや売買単位の設定があり、ここでも適切な資金管理やトレンド認識は必要だ。
どんな局面においても利益を追求できるように
相場で利益を上げていくためには、その局面や環境、市場や商品に合わせて必要な要素がある。下落相場だからといって、ただ諦めて待つだけではなく、積極的に攻めの売買を行うことも可能だ。株式市場の投資家にとっては、下落相場の武器とは、信用取引や225先物取引の売りであり、VIX指数先物やベア型ETFの買いだ。それぞれに必要な知識と技術を習得し、どんな局面においても利益を追求できる投資家になってほしい。
松下 誠(まつした まこと)
まこと投資スクール株式会社 代表取締役
2001年2月に株式投資と商品先物投資を開始。1年半で1,500万円の資金を失うも、諦めることなくトレードを学び、厳格な資金管理とトレードルールを作り上げた。直接指導した投資家は3万人以上に及ぶ。松下誠が運営する投資情報サイト「
インベスターズクリニック
」