2012年から選定されている「なでしこ銘柄」、結局のところ投資家から注目はされているのでしょうか? また、これまでなでしこ銘柄に登録されたことで株価に影響があったという企業はあるのでしょうか?

投資家がどのようなかたちでなでしこ銘柄を見ているのか、なでしこ銘柄への登録に対する企業のメリット・デメリット、投資家からの目線などを説明していきます。

なでしこ銘柄とは

経済産業省は、2012年より東京証券取引所と共同で、女性の活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」を選定し、発表しています。具体的には、女性が働き続けられる環境を整え、積極的に女性の人材活用を進めている企業です。

経済産業省によると、女性の活躍・推進に取り組むことには4つのメリットがあると考えられています。このうち、企業にとって競争力に影響を与える要因として強く意識されているのが、「多様な市場ニーズへの対応」と「労働市場における評価の獲得、優秀な人材の確保・獲得」です。

一方、「資本市場における評価の獲得、長期・安定的な資本調達」にはあまり注目が集まっていないようです。女性の管理職が増えると、男性ほどノミニュケーション(飲み会)を図りにくく、男性の部下との間で以心伝心が通じない状況が生まれる可能性があると考えられているようなのです。

また、女性の感受性の高さから、同性である女性の部下に対して厳しく接し、パワハラが増える危険性もデメリットと見ているようです。

なでしこ銘柄の意義

そもそも、「なでしこ銘柄」は、資本市場において投資家に自社株を保有してもらうための材料として機能することが期待されている銘柄です。言い換えれば、「労働市場」における意義だけでなく、「資本市場」における意義にも重点が置かれています。

海外の機関投資家たちは、すでに取締役会のダイバーシティ(多様性の受容)を中心に、「人材の多様性」を投資判断の材料や議決権行使の基準の一つとしています。

2014年、「EU会社法」が改正され、主に大企業に対して「取締役会構成員の多様性」関する情報の開示等が新たに義務付けられました。日本の場合、このような段階に至るまでにはまだ時間が必要であると考えられますが、遅かれ早かれ同様の動きが広がっていくことになるでしょう。

そうなれば、日本企業が投資家の目を意識して女性活躍推進に取り組まなければ、将来、資金調達の面で大きく取り残されると予想されます。


なでしこ銘柄の市場での動き

実際に、「なでしこ銘柄」は株式市場でどのように評価されているのでしょうか。経済産業省と東京証券取引所では、今回の選定の対象となった28業種ごとに女性の活躍度スコアが最も高い一社を選定し、指数を算出しています。

TOPIX(東証株価指数)の推移とも比較していますが、女性が活躍している企業ではその指数が高くなっています。女性の活躍推進によって、企業の業績も活性化されているのです。

今後、女性の社会進出をさらに進めるうえでは、旧態依然とした労働環境や、女性たち本人の意識改革が必要不可欠です。自分の働き方を考えつつ、投資をする際は、同じ女性たちが活躍する「なでしこ銘柄」に注目もするのもいいかもしれません。

「なでしこ銘柄」の意義と市場での動きについて説明してきましたが、いかがでしょうか。株式投資をするうえでの材料として、ぜひ参考になさってください。

ともモン
証券会社で19年勤務。証券外務員一級、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級。得意分野は証券での資産運用と退職金の運用について。現在は一児の母として育児に奮闘中。

(提供: DAILY ANDS

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