HSBCホールディングスは6月25日、英国がEU離脱とともにEU単独市場へのアクセスを失った場合、1万件の雇用口を現在の本拠地であるロンドンからパリに移動させる意向を表明した。

離脱決定直後、以前から懸念されていた米シティバンクなど、大手銀行の英撤退計画が大々的に報じられたが、米モルガン・スタンレーは報道を否定。ロンドンから拠点を移さず、英国とEU間の変化の対応に専念する構えを、ジェームス・ゴーマンCEO自ら示している。

意地を張る?モルガン 戦闘準備万全

世界屈指の商業銀行として26万人を雇用するHSBC。英国では4万8000人の従業員を抱えている。

多くの大手銀行同様、現在大規模な人員整理を行っており、英国でも8000人が雇用口を失うと予測されているが、本拠地の移動が決定すればその数はさらに増える可能性が高い。
同じくコスト削減目的で大幅な人員削減や、低コストな土地へのオフィス移動を予定しているモルガンは、「英国からフランクフルトに拠点を移す」といったメディアの報道を全面的に否定。

「EU離脱には少なくとも2年を要する。その間に英国における事業の安定化を図る」と、離脱決定が引き金となった市場の大混乱を、大手国際銀行の意地にかけて乗りきる自信を見せている。

離脱にともなう英、EU間の交渉の行方に全世界の注目が集まっているが、ノルウェーやスイス、アイルランドといった国のように、EU非加盟国でありながら欧州経済領域(EEA)での自由貿易を勝ち取れるか否かが、英国の将来を大きく左右することは一目瞭然だ。

欧州自由貿易連合(EFTA)への加盟が有力視されているが、EFTAを1960年に発足させた中心国が英国であったため、実現した場合、正確には「再加盟」というかたちになる。

1973年の欧州共同体(EC)加盟とともに離脱しているが、半世紀以上が経過した現在、自ら設けた古巣にもどる道のりをたどるとは、運命と歴史の皮肉を感じさせずにはいられない。(ZUU online 編集部)

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