50%
(写真=PIXTA)

日本は超低金利から、ついにマイナス金利時代へと突入しました。銀行に預けていても1%以下の金利しか付かない中、利回り10%を超える物件も散見される不動産投資。自動車の燃費はカタログの数値と実際で異なりますが、同じように、不動産投資の利回りも”マユツバ“と思っている方も少なくないのではないでしょうか。そこで、今回は不動産投資の利回りについて解説します。

不動産投資における利回り

利回りと一口にいっても、不動産投資では「表面利回り」「現行利回り」「実質利回り」など、いくつもの指標がありそれぞれ微妙に異なります。まずは、それぞれの利回りの意味を理解しましょう。

● 表面利回り
年間収入を、物件の購入価格で割って算出したもので、販売図面などに記載されることが多い指標です。

表面利回り=年間収入(想定賃料+共益費など)÷物件価格×100

グロス利回りともよばれ、空室や経費を考えず、周辺の家賃相場などから最大限見込める収入を単純に物件価格で割ったものです。投資効率の良し悪しを判断する指標であり、収益性を判断する指標ではありません。

● 現行利回り
中古物件などに見られる指標で、現在の家賃収入をもとに算出した利回りです。

現行利回り=年間収入(現行賃料+共益費など)÷物件価格×100

こちらも空室や経費を考えずに、現状、最大限見込むことができる収入を、物件価格で割ったものです。表面利回りよりも現実的な数値ですが、空室率によって大きく収益性が変わるので注意が必要です。

● 実質利回り
年間収入から経費(管理委託費用や固定資産税、火災保険料など)を差し引き、物件価格に購入時の諸費用(不動産取得税など)を加えたもので割って算出したものです。

実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸費用)×100

実際の支出を踏まえて算出した数字のため、より現実に即した指標となります。ただし、これも満室を前提とした収入になっているため、必ずしもこれだけの利回りが見込めるわけではありません。

利回りとともに考慮すべき「返済比率」

ところで、実際の不動産投資ではローンを組むケースがほとんどですが、上述の指標には、ローンの返済金は見込まれていません。借入額の大小は人それぞれで異なるので、指標に含まれないのは当然ですが、実際のところ資金計画で最も大きなウェイトを占めるのがローンの返済です。だからもう一つ、「返済比率」という指標も考慮して、投資判断することがポイントになります。

不動産投資における返済比率とは、家賃収入に対するローン返済額の割合です。

例えば、年間の家賃収入が500万円の物件で、ローンの年間返済額が300万円の場合、返済比率は60%となります。

一般に、不動産投資における返済率は以下のようにいわれています。

・ 40%未満=安全
・ 40%~49%=比較的安全
・ 50%~54%=要注意
・ 55%以上=危険

その理由は、ローンの返済以外にも管理委託費などの経費や税金などで、収入の30%程度のランニングコストがかかるからです。もし返済比率が50%なら、余力は20%しかなくなってしまいます。その状態で空室が発生すると、キャッシュフローが赤字に転落してしまう恐れが高くなるのです。例えば、40%の返済比率であれば、30%の余力があるので、空室が発生しても、家計に食い込むことは回避できると判断できるわけです。50%を超える場合は注意が必要となりますので覚えておきましょう。

返済比率を下げるポイント

返済比率を下げるには、自己資金の割合を高め、借入額をできるだけ抑えることが鉄則です。

また、同じ借入額でも、返済期間を長く取れば返済比率を抑えられます。返済期間は建物の構造によって異なり、木造よりも鉄骨、鉄骨よりもRC造の方が、より長いローンを組むことができます。長期ローンを組むことで、返済比率が抑えられるのであれば、自己資金が多くなくても、キャッシュフローが赤字に転落する危険性は少なくなります。

もちろん、その場合でも、計画的な修繕費用を見込んだ長期収支計画を立てることが重要なのはいうまでもありません。

まとめ

不動産投資における利回りにはさまざまな指標があります。それは必ずしも実際の収益性を反映したものではありません。不動産投資はローンを組んで経営するケースがほとんどなので、ローンの返済比率を重視することが重要です。

そして、キャッシュフローを赤字にしないための返済比率は50%です。返済比率を50%以下に抑えるには、自己資金の割合を高めるか、もしくは長期ローンが組める物件を選ぶ必要があります。利回りだけでなく、返済比率にも注意して、計画的な不動産投資を行いましょう。(提供: 不動産投資ジャーナル

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