永世中立国として知られるスイスが6月15日、議会上院の可決投票によって、EUへの加盟申請取りやめを正式に決定していたことが明らかになった。

加盟申請は1992年から保留になっていたものだが、加盟の賛否を問う国民投票では過半数が「非加盟」に票を投じており、「EU加盟は自国に何の利益ももたらさない」というスイス側の最終的な結論が、25年近い時を経てEUに伝えられることになる。

ジャーマン代表「スイスがEUに加盟しなくても、大騒ぎにはならない」

独自の経済、政治基盤を確立した国としてのイメージが強すぎるせいか、あるいは長い歳月が流れすぎたせいか、スイスのEU加盟申請については、これまであまり語られることがなかった。

スイスはEUにも欧州経済領域(EEA)にも加盟せず、欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国としての立場を長年維持している。

1992年にEU加盟の申請書を提出したものの、同年に実施された国民投票では非加盟派が過半数(50.3%)であったことから、スイス政府が申請保留状態を維持したまま25年が経過しようとしていた。

スイスでは自国とEUの関係を見極める目的で、1972年の欧州諸共同体(EC)加盟に関する投票から始まり、現在までに10回以上の投票が繰り返されている。

2014年には移民受け入れについての国民投票も行われ、ここでも過半数(50.33%)がEUの根底である「自由移動」に同意しない意思を示した。

今回の議員投票結果を受け、ディディエ・ビュルカルテ外務大臣は「申請書は無効」とし、最終結論をEUに伝える意向だ。

治安、所得、技術、教育など世界屈指の生活水準の高さを誇るスイスにとって、EU加盟に大きなメリットが見いだせない--という点は納得がいく。

EEA加盟国であるノルウェーやのように単一市場へのアクセス権は持たないが、EFTA加盟国の特権を活かし、EUにとって世界第4位の主要貿易国となっている。昨年のスイスからEUへの輸出総額は1023億ユーロ(約11兆6456億円)、EUからスイスへの輸出総額は1509億ユーロ(約17兆1782億円)にのぼる。

スイス北東部の自治体、シャフハウゼン州のハネス・ジャーマン代表は、昨年アイスランドがEU加盟交渉を打ち切った例を挙げ、「非加盟という選択肢を選ぶ度胸がアイスランドにはあった。スイスが同じ道を進んでも、火山が噴火するような大騒ぎにはならないだろう」と、冗談めかしてコメントしている。(ZUU online 編集部)