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(写真=PIXTA)

書店を訪れると、不動産投資の入門書が数多く並んでいるのを見かけます。安定した収入を期待して不動産経営を考える人の多さがうかがえます。

アパート経営には、会社勤めのような定年がありません。もし皆さんが、会社の定年を少し早めて不動産オーナーを目指すなら、どんな準備をしておくべきでしょうか? そこで今回は、早期退職して不動産オーナーを目指そうとする時に、押さえておくべき基礎知識をまとめました。

アパート経営は家賃収入だけじゃない!

アパート経営とは、基本的にアパートを1棟丸ごと所有し、賃貸・管理することです。1棟丸ごとの管理をする場合、手間はかかりますが、1室しかないワンルームマンションの賃貸と違い、多少の空室は他室の家賃収入でカバーできるメリットがあります。

アパート経営の主な特徴を以下にまとめました。

● メリット
・ 長期的に家賃収入を得ることができる
・ 借入れによって少ない自己資金で始められる
・ 死亡保険や相続対策としても利用可能

● デメリット
・空室リスクがある
・メンテナンス費用や火災、地震保険などの経費が掛かる
・地価下落や災害リスクがある
・換金しにくい

この他にも、「リフォームやリノベーションで家の価値を上げることができる」「インフレ(物価上昇)に強い」といった強みもあります。空室リスクやメンテナンス費用も収益率を厳しく見込むことで一定程度抑えられますし、きちんとリスクを理解し対策を施しておけば、決して難しい投資ではありません。

リタイアの前に準備しておきたいこと

とはいえ、アパート経営を始めるのを躊躇する人もいるでしょう。リタイア後にアパート経営をスムーズに始めるには、どんな準備をしておけば良いのでしょうか? やっておきたいこと、やっておくべきことを項目ごとにご紹介します。

1. 知識を得る

アパート経営に資格は必要ありませんが、勉強、もしくは取得しておくと役に立つ資格があります。ここでは3つの資格を紹介します。

●宅地建物取引士
不動産取引の専門家です。物件に関する重要事項の説明や契約書への記名・押印などは、宅地建物取引士の独占業務です。不動産における法律知識も取得できるため、トラブル回避にも役立つでしょう。ただし、これらの業務は不動産業者に依頼することができますし、会社勤めをしながらの合格は難しい資格ですので「参考書を読んで勉強をしておく」という姿勢でも十分だと思います。

●ファイナンシャルプランナー(FP)2級
FP試験は全部で6科目あり、不動産や相続、税金など、アパート経営に必要な知識を広く浅くカバーしています。また、年金や保険など、アーリーリタイアメントをする上で知っておくべき知識も取得できるため、取得もしくは勉強することをお勧めします。難易度は宅地建物取引士よりも低いです。

●簿記3級
アパート経営をするならば、帳簿をつけて確定申告することになります。申告そのものは税理士に頼むとしても、記帳や損益の把握ができなければ、経営者として失格です。個人事業主なら3級で十分なので、知識を習得しておくとよいでしょう。

2. 人脈を広げておく

不動産の売買においては、司法書士、宅地建物取引士、場合によっては不動産鑑定士や行政書士など、多くの専門家が関わってきます。また、トラブルが発生したときには、弁護士の助けが必要になることもありますので、アパート経営を始める前に人脈を作っておきましょう。

会社勤めだけでは、あまり士業の人と面識を持つ機会はないかもしれません。一般参加が可能な専門家の勉強会に参加したり、ビジネス交流会に出席したりすれば、その機会を得ることができます。大切なのは、常にアンテナの感度を高めておくことです。

3. 資金の準備

いくら借入れを行うつもりでも、頭金や諸経費は必要です。また、余裕資金が多いに越したことはありません。

事前に準備すべきことをまとめると、「勉強をしつつも人脈を広げ、なおかつ、資金も用意する」となります。ハードルが高いように思えますが、経営者になるためには不可欠なことばかりです。長期的な戦略で準備を進めていきましょう。

不動産投資のトラブルにはどんなものがある?

いくら準備万端で始めても、不動産投資にトラブルは生じ得ます。購入物件の瑕疵や家賃の滞納をはじめ、高齢化社会においては入居者の孤独死なども覚悟すべきかもしれません。また、土地を購入してアパート経営に着手してから、工務店が倒産するといった深刻な事態もあり得ます。前払金を支払った後で工務店が倒産すると、資金繰りに深刻な影響を与えかねません。トラブルは想定していても、必ずさらに想定外の事態に遭遇すると考えておいた方がよいでしょう。トラブルの都度、最善の対応ができるように備えておくことが大切です。

まとめ

上述のように、不動産投資には「借入れによって少ない自己資金で始められる」というメリットがあります。しかしそれは、裏を返せば、返済リスクがあるということです。不動産投資は、住宅ローンやマイカーローンなどと比較すると金利が高めで、借入額も大きくなります。特に変動金利を選択した場合、金利の変動次第で、返済額が一気に増える可能性もあるので注意しましょう。

その他、マンション経営を相続対策として始めたはずが、赤字経営になってしまいかえって子供たちに事後処理の迷惑をかけてしまうということもあります。メリットも、一歩間違うとデメリットになる可能性があります。両者は表裏一体であると肝に銘じておきましょう。まずは、リスクやトラブルに動じないように準備を行うことこそ、アパート経営に必要なことだと言えるのではないでしょうか。 (提供: TATE-MAGA

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