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(写真=PIXTA)

投資用物件としてアパートを選ぶことは、決して簡単ではありません。収益の出る物件かどうかを見極める力がなければ、大きな損失を出すこともあります。

ポイント1  実質利回りで考える

投資用物件のチラシや情報には、必ず「利回り」が記載されています。そして、「表面利回り」と「想定利回り」のどちらかで記載されていると思います。これらはいずれも、「満室時の賃料収益」という仮定で算出された数値です。

例えば、3000万円の物件で表面利回りが10%と記載されていれば、計算上の年間賃料は
3000万円×10%=300万円
となります。しかし、これは満室の場合の計算です。

仮に空室率が40%、つまり入室率が60%だとすると、年間賃料は
300万円×60%(入居率)=180万円
となり、満室時と120万円もの差が出てしまいます。

投資物件が新築アパートの場合は、管理会社から周辺相場を教えてもらい、競合物件の入居率を調べましょう。

利回りには「表面利回り」、「想定利回り」のほかに、「実質利回り」というものがあります。実質利回りとは「実質の物件価格」に対する「実質の賃貸収入」の割合で、本当に利回りが高いかどうかはこちらの実質利回りで判断されます。

「実質の賃貸収入」は、毎月の家賃から管理費などのコストを差し引いた「年間収入」の総計です。この「年間収入」から、固定資産税、都市計画税などの税金が差し引かれます。また「実質の物件価格」とは、物件の購入価額に不動産業者への仲介手数料、不動産取得税、登録免許税などの諸費用を加算した価格になります。これらの諸費用は不動産価格で決まります。それが本当の意味での物件の利回りで、実質利回りは3%~5%が一つの目安とされています。実際にアパート経営を始めてみないと本当に必要な経費は出てきませんが、それに近い数字は同様の物件から算出することができます。よりリアルに近い利回りで判断する必要があります。

ポイント2  売主と売る理由を確認する

もし、物件が新築でなく中古アパートの場合は、「なぜ売りに出ているのか?」という点を確認する必要があります。「売主にまとまったお金が必要になった」「遠方に引っ越す」「相続のため」など、さまざまでしょうが、理由はどうあれ不動産投資家が売りに出している場合は注意が必要です。

現在の収益率が悪いか、近い将来収益率が悪くなると予想して売りに出すケースが少なくありません。儲かる物件を、わざわざ売りに出す投資家はそうそういません。また、アパート建設用の土地を購入する際にも、売主が誰でなぜ売りたいのかは必ず確認しましょう。

ポイント3  満室物件では経緯を確認する

不動産投資に慣れていない方が、中古アパート物件を購入する際に見落としやすいポイントです。物件情報の広告に「満室物件」「大人気! 現在満室」などと記載されているものがあります。一見、優良物件のように見えますが、ここで満室の「経緯」を確認しておきましょう。

何を確認するかというと、「満室になった時期」と「最近、入居者募集のキャンペーンを行ったかどうか」の2点です。

もし1~2カ月前に入居者が複数決まったという場合は、売却に向けて満室にするために敷金を下げている、あるいはフリーレント(家賃無料)期間を設けて契約したなどのケースが考えられます。また、入居者キャンペーンとして周辺の競合物件よりも好条件を広告に出し、短期間で満室にした可能性があります。こういった物件は入居者にとって何か住みにくい理由がある可能性が高く、将来的に空室となる可能性もあります。

不動産仲介業者には、満室までの経緯を他者に伝える義務はありません。しかし、どうやって満室になったのか、どれくらいの期間満室状態は維持されているのか、オーナーになる人にとって非常に重要です。キャンペーンや値下げをしたことで入居者を入れたのか、中古物件を購入する場合は次のオーナーになるあなたに同じ課題が突きつけられるわけで、細心の注意が必要です。

ポイント4  修繕やリフォームの必要性を確認する

アパートを売却する理由の1つとして、「修繕やリフォームに費用を掛けてまで維持したくないので売りに出す」というものがあります。そのような物件は、比較的割安で表面利回りが高くなります。築年数が10年以上経過していて表面利回りが高い物件は、修繕やリフォームが必要になる可能性が高いと考えてください。

この点を確認し、もし修繕やリフォームの工事が済んでいたら購入検討の余地はあるでしょう。逆に、近いうちに工事が必要だと分かれば、業者に工事費用の見積もりを取って購入価格に加算して利回りを計算しましょう。

ポイント5  管理会社と直接話して信頼度を確認する

アパートを実際に管理するのは管理会社です。アパート購入後、管理会社に管理を依頼する場合はその会社の電話対応や担当者との対話から、信頼できる会社かどうかを確認すべきです。

入居者はオーナーと接する機会はほとんどなく、管理会社としか接点を持ちません。だから管理会社が入居者に適切な対応を取ってくれれば空室率も減りますが、雑な対応をされれば空室率は高まるでしょう。収益率は低下し、赤字経営にもなりかねません。

そうならないためにも、アパートを購入する前に管理会社の対応を確認するのが重要なのです。

まとめ

投資対象としてアパートを検討する際に、中古の場合、満室稼働や価格が安いなどの理由で購入を急ごうとしてしまいがちですが、まずは購入の方向性を決め、満室になった経緯や、別途工事は必要ないかなど、「なぜ価格が安いのか」を立ち止まって良く考えてみましょう。新築する場合は、周辺エリアの同様の物件の賃料や空室率などを詳しく調査し、実質利回りに近い数字を前提に投資判断しましょう。 (提供: TATE-MAGA

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