原油価格,見通し
(写真=Thinkstock/Getty Images)

年初に一時1バレル=26ドル台まで下落していた原油価格(WTI、期近)も6月には50ドル台を回復しており、年前半は急落からの持ち直しとなった。相場の流れはほぼ昨年と類似しており、今年も年後半は軟調な展開が見込まれる。ただし、生産者は昨年の経験から学んでおり、今年はより落ち着いた値動きとなりそうだ。年後半のメインシナリオは45~50ドルでレンジ相場を形成した後、40ドル前後を目処に水準訂正が予想される。今回は、その背景を説明する。

リグ稼動数の増加で相場は頭打ち、昨年と同じ展開

2016年前半の原油相場とリグ(石油採掘施設)稼動数の動きは昨年の展開と極めて似ている。

昨年を振り返ると、原油価格は3月に43ドル台まで下落した後に切り返し、5月には60ドル台を回復した。60ドルは当時のシェールオイルの採算ラインだったことから、この水準で上昇は頭打ちとなったものの、リグ数の減少が続いていたことで6月に入っても60ドル前後を維持していた。しかし、7月に入りリグ数の増加が確認されると相場は軟調に転じ、さらに9月以降は生産量も緩やかな増加に転じたことでその後の原油安に拍車をかけた。

現在、シェールオイルの採算ラインは40~45ドルと推定されている。相場が50ドル近辺まで上昇した6月に入り、それまで減少していたリグ数が増加に転じるとおおむね歩調をあわせて上昇も頭打ちとなった。今後、生産量の増加が確認されれば、原油価格は一段安となる公算が大きいだろう。

サウジと米シェール企業は昨年の経験から学んでいる

ただ、サウジアラビアと米シェーオイル企業のシェア競いの結果、原油価格が当事者の予想を超えて30ドル以下まで急落してしまったことへの反省から、昨年と同じ轍を踏むとは考えづらい。

まず、シェール企業の対応をみると、原油価格の急落で多くの企業が破綻に追い込まれた経験から、これまで以上に収益に敏感になり、増産にも慎重な姿勢をみせている。

リグ稼動数は6月初旬から増加に転じたものの、米国内での原油生産高はわずかながらも減少が続いており、まだ増産には至っていない。昨年のように採算を度返ししてでも生産を維持するといった方針は捨てて、収益が確保できる水準、すなわち50ドル近辺で原油価格が安定するまでは、増産が見送られる可能性もありそうだ。

また、シェアの維持を優先して減産を拒んできたサウジアラビアも再びかつてのように需給の調整役を果たすことに前向きになっている。サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は6月、原油価格の回復を受けて、サウジアラビアが原油需給の調整役に復帰する可能性があるとの考えを示した。

こうした状況を踏まえると、50ドルからさらに上昇することは難しいと考えられる一方で、年初来の安値を探るような展開も考えづらく、40ドル前後が下値の目安となりそうだ。