すでに結果も明らかになった参院選だけではなく、都知事選の投票日も迫っており、まさに「政治の季節」だと言えそうだ。
今回はそんな「政治」をおおカネという視点から見てみよう。そこで気になるのは国会議員の年収。国政を預かる国会議員は一体、どれだけおカネを稼いでいるのか。疑問に答える手がかりは「国会議員資産公開法」だ。
実は国会議員は同法に基づいて、所得を公開しなければならず、公開された情報を見れば、国会議員の懐事情を覗き込めてしまう。公開された情報を元に、国会議員の年収トップ3について分析してみよう。
国会議員の年収NO.1は居酒屋「ワタミ」の渡邉参院議員
もともと国会議員の給与は固定である。月額129万4000円に期末手当約635万円が加わり、年収総額は2200万円ほど。「歳費」として支払われるのが、この国会議員の給与だ。
国会議員の収入が歳費だけなら、年収についても全国会議員で同じはずだ。しかし、国会議員が講演会を行い講演料をもらったり、原稿を執筆して得られる原稿料などの収入もあると知られている。ほかにも株式などの運用益、土地・建物などの家賃収入、各種団体の役員報酬を得ている議員もおり、国会議員ごとに収入も変わってくる寸法だ。
早速、国会議員の年収トップ3を見ていこう。1位はあの、ブラック企業叩きのターゲットにもされて話題を呼んだ居酒屋「ワタミ」の創業者でもある渡邉美樹参議院議員だ。同議員の総収入は1億5172円で、収入のほとんどは、学校法人などの理事報酬、および株式などの資産収入で占められている。
渡邉議員は年収の多い国会議員としてだけではなく、経歴面も華やかだ。具体的には、日本経団連理事、政府教育再生会議委員、神奈川県教育委員会教育委員などを歴任し、2013年7月、参議院選挙(全国比例区)当選した経緯がある。
他方でグループの中核企業「ワタミ」がブラック企業の金賞を受賞したり、自殺した社員の労災認定問題で裁判に巻き込まれたり、Twitter上で労働問題についてのたびたび炎上を繰り広げるなど、何かと話題の尽きない議員でもある。
収入の内訳としては、学校法人郁文館夢学園理事長、岸和田盈進会病院理事長、一般社団法人ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズ代表理事としての報酬がある。外国投資信託等の譲渡収入もあり、ランキングでは2年連続のトップとなっている。ただし株式関連収入が激減し、所得総額は前年より減っている。
2位には公明・岡本議員は家賃で6253万円の収入
2位にランクインされたのは、公明党の岡本三成議員で、所得は9174万円だ。政務以外の収入として、家賃収入6253万円を計上しており、不動産から大きな所得を得ていることが明らかになった。
岡本三成議員は、1989年に創価大学を卒業後、シティバンクに入社。ノースウェスタン大学経営大学院(現:ケロッグ経営大学院)でMBAを取得した後、ゴールドマン・サックス証券に入社、40歳で同社執行役員に就任している。2012年、衆議院議員総選挙に比例北関東ブロックから立候補し初当選。2014年12月再選。
経歴から見て、同議員は投資のプロでもあると言っていいだろう。所有している不動産の詳細は明らかにはなっていないが、投資用の不動産を国内外に多数所有していると推察される。
自民・新谷議員は医療法人理事の報酬などで8000万円超
自民党の新谷正義議員は、3位にランクインした。総所得額は8195万円。同氏は帝京大学医学部、東京大学経済学部経営学科を卒業後、医師として日赤医療センターに勤務。その後、医療法人晴生会を設立し、鹿嶋市、札幌市の病院では病院長兼理事長を務める。
2012年の衆議院議員総選挙で、自民党から比例北関東ブロックに出馬。自民党大勝の追い風もあり初当選を果たす。2014年には衆議院議員総選挙に比例中国ブロックで出馬し、再選を遂げる。
父親は医療法人・葵会の理事長を務める新谷幸義氏。その葵会傘下の医療法人である晴生会・和乃会・薗宇友安会の理事長を新谷正義氏が務めている。つまり医療法人理事長としての報酬が、政務給与以外の大半を占めていることになる。
ちなみに与野党の党首の年収第1位は、「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎代表(5989万円)。国会議員全体でも10位。内訳は大学や財団などの役員報酬など。第2位は「自民党」総裁の安倍晋三(3771万円)。3位は「おおさか維新の会の片山虎之助共同代表(2321)万円となっている。
年収トップ3の国会議員を中心に議員の報酬を見てみると、歳費以外の収入がある先生も多いようだ。他方で、国会議員全体での年収の平均は前年を158万円下回り、4年ぶりに減少となった。最大の理由は、ランキング1位となった渡邉参院議員をはじめとする多くの議員が、株式などの資産関連収入を大きく減らしたためだとされている。(ZUU online 編集部)