ドクターの特権を活かす投資

また、ドクターという社会的地位を最大限活用できるのが、不動産投資だ。金融機関から融資を受けやすい点は、不動産投資にとっては大きなメリットである。

一般的には、ドクターは高収入で、金融機関から見て高属性となる。貸す側からすると、当然融資をしたい対象だ。1件目、2件目は購入した物件の利回りなど、購入した不動産の属性とドクターとしての属性の両方を審査の内容とするが、3件目、4件目と買い進んでくると、大家業として認められ、その力で融資を引っ張ってくることができる。

すなわち、1棟目、2棟目は医師という職業属性を最大限生かし、それにより効率の良いスタートを切り、3棟目以降は今まで購入した物件の力で、買い進めていくというパターンが王道となる。不動産投資は、土地建物の価値はもちろん、周辺の人口構成や交通アクセスなどさまざまな要素を分析する必要がある。

ところが、ドクターであれば「一般的に魅力的な良い物件」と考えられる条件と同じくらい、「その地域に医師が多いか少ないか」という条件も加え、投資判断をする。これなら一般的な不動産の価値とは基準が少し異なるので、医師にとって魅力的な物件を安く購入することもできるわけだ。そして、将来的にその不動産を「医療関係の施設」として利用すれば、不動産の価値が大きく高まる可能性がある。

ドクターだけでない、不動産投資の選択肢

ここまで、特に開業医の方々の事例を見てきたが、それ以外の多忙な方々も全く同じ考え方が通用する。

時間がないので流動性の低いものを選ぶ、自分の社会的地位を投資に有効活用する、自分の仕事と不動産投資を上手に結びつけ活用する、などはドクターに限らず、他の富裕層の方々も大いに参考になるのではないだろうか。

不動産の価値を本業に活かす、すなわちファイナンスの一種として使えるのも、中小企業のオーナーにとっては魅力的だと思う。多忙な方々こそ、不動産を有効活用することで、本業の安定に寄与できるのだ。不動産のメリットに焦点をあてて解説してきたが、不動産投資にもリスクは付きものだ。正しく理解をした上で選択肢のひとつに入れてみてはいかがだろうか。

マネーデザイン 代表取締役社長
中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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