投資にリスクはつきものだが、当然ながらリスク選好(回避)の度合いは人によって異なる。同様に人生の重大な選択である結婚にも個人のリスク観が反映されると、見られている。

端的に言えば、一部の研究が指摘するように「男女ともに、リスク回避傾向の強い人には早婚傾向がみられる」ようだ。逆に言えば、積極的にリスクテイクする肉食女子ほど、晩婚化することになる。

もちろん、現実的にはさまざまな異論や反論、抵抗もあるかもしれないが、れっきとした経済研究の成果の一つだ。同研究の成果をもとに、リスク観と婚期の関係を検証してみよう。

婚期と投資のやんごとなき関係

いくつかの経済論文では、リスクテイクに慎重な人物ほど、早婚になると結論づけられている。また「リスク観の違い」がその背景にあるとされる。

リスク回避を指向する人ほど、結婚を保留する理由が小さくなり、「保険」としての結婚を重視することから、前向きになると見られる。少し説明すると、リスクを回避しようとする傾向の強い人ほど、結婚相手を探す機会費用を気にしたり、もしもの時に頼れる相手の存在を重視しているといえそうだ。

具体的には、急な病気や事故、リストラといった不測の事態にも、安定した収入を得られ、病気・ケガへの備えを確保しておきたいということかもしれない。

また早婚であれば子供の養育・教育負担からも早く解放される。40代後半以降に早期退職を余儀なくされたり勤務先が倒産したりする可能性を考慮した場合、子供が早く巣立つ早婚の方が家計崩壊リスクを小さくできるという計算も働くのかもしれない。

一方で晩婚の人についても、みてみよう。どもすれば晩婚の人は、「結婚できないリスクを取りつつ最良の伴侶を得る」ことを狙う戦略を採用したと見ることもできる。

そこに見られるのが、結婚の機会費用に対するスタンスの違いだ。通常、結婚に対しては時間の経過とともに結婚機会を消費していくことになり、結婚すること自体を最重視する人は与えられた持ち時間を消費し尽さないように早い結婚を目指すのが自然だろう。

他方で、あくまで最良の伴侶を求める人は最大限の時間を使って結婚機会をうかがう行動をとれば、婚期を遅らせる可能性も高いと言えそうだ。

投資との関係でいえばリスク回避的な早婚の人は元本償還と利息が確定している預金や債券投資を好む一方、リスクテイクに積極的な晩婚の人は元本割れリスクを承知した上でキャピタルゲインを狙える株式投資やより価格変動率の高い商品先物などを好むということだろう。