桃栗三年、柿八年、技術を得るには何年かかるか

韓国経済はこれまでも、中国の低価格攻勢と日本の高い技術力に挟まれて、いわばサンドウィッチ状態にあると言われてきた。最近では中国が、急速に技術力を高めてきたことで、さらに窮地に立たされているという。化粧品分野は、エンタメ分野とともに、いわばこうした状況を打開する切り札として国外に”輸出”されている。だが、それだけでは根本的な解決策にはならない。現状を切り抜けるためには、利益率の高い分野で自らが技術力をつける他に手段はないのだ。各財閥は危機感から、次々と新しい分野への進出を打ち出している。

サムスングループはバイオ医薬品事業を「将来の収益源」と位置づけ、2015年12月には仁川に巨大な生産規模を持つ、サムスンバイオロジックス社の第3工場建設に着手した。また、現代(ヒュンダイ)・起亜自動車は「将来のコア事業はエコカーにある」と見なし、2018年までに約1.2兆円を投入して環境に優しい車種を開発するという。

各財閥がこぞって「基礎的な技術」を手にすることを最も優先しているわけだが、こうした動きが実を結ぶには、それなりの時間がかかる。

中国依存か、脱中国か、韓国経済の未来は?

財閥主体の経済構造が招いた低迷の中で、世界の投資家たちが韓国化粧品に注目するのは何故なのか。上述した通り、大口投資家による韓国化粧品メーカーの株式取得の動きは活発である。実際に、韓国の化粧品を評価し、細部に及ぶスキンケアを重視する風潮は、世界的に広がっている。

韓国最大級の化粧品メーカーであるアモーレパシフィックや、LGグループ傘下のLGハウスホールド・アンド・ヘルスケアの株価も、中東呼吸器症候群(MERS)による瞬間的な下落はあったものの、長期にわたって右肩上がりの上昇傾向だ。

韓国コスメが注目されている最大の理由は、中国人の根強い支持にある。中国人と韓国人の間にはある種共通する、文化的価値観があるのかも知れない。ただ、いかに中国市場に強かったとしても、それだけで長く世界の投資家たちを惹きつけることはできない。

中国依存の体質が輸出の鈍化に、大きな影響を及ぼしていることは確かだ。今後も世界の投資家にとって魅力的であり続けるには、脱中国を化粧品筆頭にいかに推し進められるかに鍵があるだろう。(ZUU online編集部)

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