いわゆる仕事の定年や老後に合わせた退職ではなく、それよりも早い段階で仕事を辞めるセミリタイア。
自由で気ままな生活ができてうらやましい、と憧れを抱く人も多いのではないでしょうか。一方で、セミリタイアに興味はありつつも、最低限の生活費を確保したり、在職中に必要な資金を得ておいたりと、特に金銭面での不安や疑問があるかもしれません。
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セミリタイアって?
セミリタイアとは、60~65歳といった一般的な定年退職の前に会社を辞め、何かしらの手段で収入を得ながら生活をしていくことを指しています。特に、「退職後の生活に近いライフスタイルを送ること」を意味することが多いでしょう。
最近では働き方が多様になり、また、ネットの普及でどこにいても仕事ができるようにもなったため、若いうちからセミリタイアを意識したり、実際にセミリタイア同然の生活を送ったりする人も増えているとのこと。
早期退職後の生活
定年退職まで働かなくとも生活していけるのなら、早めにリタイアして好きなように生きていきたいと思う人が多いのも納得です。趣味に思い切り打ち込んだり、旅行へ出掛けたり、時間に追われる生活から抜け出して好きなことを気ままにしたりできる生活は、考えるだけでワクワクしてしまいますね。
ただ、冒頭にも出てきたように、ネックになるのはやはり「お金」。
セミリタイアを目指して仕事を辞めたものの、資金面の問題で、結局は長く続けられないといったケースもかなりあるのだそうです。
それでは、セミリタイアをするにはどのくらいの資金が必要なのでしょうか。セミリタイア後に収入がなく貯蓄を切り崩すとした場合、単純計算で「1ヶ月の生活費×12ヶ月×セミリタイア生活を送る年数」を用意しておかなければなりません。老後資金も含めるとなると、かなりの金額になることが予想できますね。
セミリタイアは海外が人気ってホント?
ところで、セミリタイアをすると基本的には住む場所に縛りがなくなるため、海外に移住する人も多くいるようです。
特に、物価の安い東南アジアは人気。中でも、タイは日本人にとって比較的住みやすく、移住先として選ぶ人が多い国です。タイに移住した場合、どのくらいの費用で生活できるのでしょうか。
タイの中でも物価の高いバンコクと東京の生活を比べてみると、3分の1から2分の1程度で暮らしていくことも可能なようです。ぜいたくをしなければ、月10万円ほどで生活していくこともできそうです。ただ、生活スタイルによっては日本にいるのと変わらないお金が必要になることも。自分がどういった暮らしを望むのかセミリタイア前にしっかり考えておき、入念な下調べをしておきましょう。また、タイの物価が少しずつ値上がりしていることも考慮し、将来的にはさらにお金がかかる可能性も視野に入れておいた方がよさそうです。
アメリカに移住する場合はどうでしょうか。アメリカでも特に温暖な気候のカリフォルニア州でのんびり過ごしたいと考える人は多いようです。ただ、アメリカの場合、日本以上に物価が高いことも考えられますので、セミリタイア後に一切収入がない場合は、よほどの生活費を用意しておかなければ、続けることが難しくなるでしょう。
国内では田舎へのセミリタイアが人気
海外派が多い一方、文化の違いや言葉の壁を感じることなく、国内で快適に暮らしていきたいと言う人もいます。元々の住まいに住み続ける人もいますが、中にはセミリタイアを機に、のんびり暮らせる田舎へ移り住む人もいるようです。国内で人気の移住先はどこなのでしょうか。
移住先を考えるにあたっては、その人なりの優先事項が異なるため、地域にはばらつきがあるようです。ただ、全体的には気候が温暖な南の地域が多い傾向にあり、特に、九州や沖縄が人気のようです。沖縄への移住は、セミリタイアやリタイア後の移住先として候補に挙げる人が多く、「老後は沖縄でのんびりしたい」といった話をよく耳にするのではないでしょうか。観光地としてはもちろん、移住先としても人気の高い沖縄ですので、沖縄に移住を考える場合は、比較的情報を得やすいかもしれません。
ただ、海外と比べると敷居が低そうな国内の移住でも、長く続けられず元の場所に戻ってきてしまうこともあるようです。沖縄の場合、生活コストが予想以上にかかってしまったという金銭面での問題だけでなく、旅行で訪れた時のイメージと、実際に定住して生活してみた時の感覚のズレが違和感を生むといったことも多いといいます。
好きな観光地に住んでみたい、と憧れて移住を目指すのは素敵なことですが、いざ住むとなると旅行で訪れるのとは違うということを肝に銘じておいたほうがよさそうですね。
セミリタイアの条件・方法とは?
さて、実際にセミリタイアをするとなれば、条件や方法が気になります。まず、セミリタイアをするための条件として「貯蓄が○○万円以上あること」といった具体的な金額が最も重要と考える人は少なくないかもしれません。しかし、先ほども述べたように、セミリタイア後にどういった生活を望むかによって必要になる金額はだいぶ変わってきます。そのため、いくらあればセミリタイアの条件になるとは一概に言うことができません。
また、セミリタイア後の収入を、貯蓄だけでまかなおうとするのはハイリスクです。セミリタイア後の生活費が予想よりもかかってしまった場合、結局はセミリタイアを断念せざるを得ないといったことも考えられます。となると、セミリタイアの条件としては、不労所得や労働時間を抑えた形態の仕事などを確保できるかどうかではないでしょうか。
たとえば、不動産投資などによって生活費以上の収入があれば、セミリタイアは可能と言えるでしょう。もしくは、好きなライフスタイルを優先しながらも、在宅ワークなどによって収入を得ながらセミリタイア生活を送る人もたくさんいます。もちろん、現役時代の蓄えが多いほど、セミリタイア後に得る収入は少なくて済みますが、全てを貯蓄でと考えるのは現実的ではないようです。
いつごろからセミリタイアを計画する?
セミリタイアを成功させるためには、下調べやしっかりとした計画を立てておくことが重要です。いつからセミリタイアの計画をしていたかは個人差があるようですが、一般的には短くても数年程度が必要でしょう。
人によっては、10年以上かけて資産を作ったり、不労所得の準備をしたり、セミリタイア後の生活について入念に計画することもあるようです。「○年以内に」「○○歳までに」と目標を立て、それまでの間に準備に専念している人が多いようですね。
家族がいる人がセミリタイア時に気を付けたいこと
セミリタイアを考える人の中には、独身の人だけでなく、家族を持っている人も含まれます。その場合、特に気を付けたいことをいくつか挙げておきましょう。
まず、子どもがいて移住する場合、やはり子育て環境が最も気になる点ではないでしょうか。自然の中で子育てがしたいといった理由でセミリタイアを希望し、実際に移住する人も多くいるようですが、やはり子どもがいる場合は、保育園や幼稚園、小学校などに通える範囲というのが条件になりそうです。その他、生活する上での利便性なども考慮したい点でしょう。
次に、社会保険です。たとえば、セミリタイアして会社員でなくなると、健康保険は基本的には国民健康保険になります。家族がいて移住を希望する場合は特に、移住先の自治体の健康保険料がいくらなのか事前に調べておくことが必要です。
海外に移住する場合は、医療保険も考えておかねばなりません。特にアメリカでは日本と違って国民皆保険ではないことがよく議論されていますが、実際に海外に移住した時に医療保険がどうなるかといったことはしっかりリサーチとしておくことが重要でしょう。
最後に、税金です。特に注意しなければいけないのは、海外へ移住した人にも国内での税金がかかる可能性があるということ。たとえば、住民税は1月1日時点での住所地から請求が来ます。海外へ移り住む前に、税金の支払いについてはしっかり確認しておくようにしましょう。
幸せなセミリタイアに必要な資金は?
セミリタイアを成功させるためには、やはり、資金を計画的に確保できるかどうかが一番のポイント。
自分が望む生活によってコストが変わることは繰り返しお伝えしている通りですが、それでもおおよそどのくらいの費用が必要なのか気になりますよね。ここではセミリタイアをする年代として代表的な40代、50代のケースを見ていきましょう。
まずは、40代。月に貯蓄から10万円を切り崩しながら、その他に副収入を得るとします。40歳で女性がセミリタイアすると仮定して、平均余命(約48年)から計算すると「10万円×12ヶ月×48年=5,760万円」となります。ここでは老後に得る公的年金等は一切考慮していません。また、実際にかかる生活費は家族構成や生活スタイルによってかなり差が生まれるものですので、ご自分のケースに当てはめて計算することが大切です。
次に、50代の場合です。同じ条件で50歳の女性がセミリタイアするとして、「10万円×12ヶ月×38年=4,560万円」となります。こちらも、公的年金等は考慮せず計算しています。いずれの場合も、あらかじめ用意しておくにしてはかなり大きな金額ですので、どのようにして資金を確保するのかが、幸せなセミリタイア生活のためにはかなりのポイントになりそうです。
セミリタイアに必要な資産を確保する方法
では実際に、セミリタイアに必要な資金を得るためにはどういった方法があるのでしょうか。
セミリタイアをした人の収入の得方としては、大きく2つのパターンがあります。一つ目は、不動産投資など資産運用によっていわゆる不労所得を得る方法。二つ目は、在宅で仕事をしたり、移住先で新たな職に就いたりするといった方法です。
収入の得方は、セミリタイアをする理由に関係するかもしれません。たとえば、移住を主な目的にセミリタイアを希望する場合、その場所で暮らしていくことを一番に優先させるため、「仕事をしないこと」は重要でなくなるからです。一方、できるだけ自由なライフスタイルを望むなら、趣味や好きなことをする時間を確保するため、不労所得で収入を得ようと考える人が多いようです。
望む生活を優先させながらも仕事をして収入を得る場合、比較的早くセミリタイアを実現できることが多く、一方で、不労所得や資産によって生活する場合は、準備や計画のためにセミリタイア生活には時間がかかる傾向にあるようです。
資産運用のみでセミリタイアはできる?
実際に資産運用のみでセミリタイアはできるのでしょうか。
著者の周りにも、株式投資等で収入を得て生活をしている人はいますが、ほとんどの場合は元手となる資金を増やすため、現役時代からセミリタイアの時期を決めて計画的に資産運用をしているようです。年率の目標を立て長期間かけて複利で運用していけば、かなり大きな資金を作ることも可能でしょう。
不動産投資で見て行きましょう。不動産投資は、手間がかからず、景気に左右されにくい投資なので、セミリタイア後の生活が安定しやすいといったメリットがあります。実際、セミリタイア後の収入に不動産投資を上げる方は非常に多くいらっしゃいます。ただし、実際にセミリタイアした時の生活をまかなえるだけの収入にするにはそれなりに大変で、誰しも簡単に実現できる方法とは言えないようです。こちらも、仕事を辞める前に実際に経験し、入念な計画が必要となりそうです。
セミリタイアしても収入の確保は必須
「セミリタイア後の生活費は、全て貯蓄を切り崩す」というのは現実的ではない以上、セミリタイアをしても、収入の確保は必須と言えそうです。また、現状とは違った形で仕事をしてもいいという場合は、自分が望むライフスタイルを守りながらできる働き方を色々と模索してみるのがいいでしょう。
極力仕事をしないで生活するなら、先ほど挙げたよう投資を考える人が多いですが、できるだけ複数の収入源があると安心です。労働時間を短くして働き、資産運用でも収入を得るなどすると精神的にも安定し、セミリタイアを満喫して過ごせるのではないでしょうか。
セミリタイアは人生の理想の選択になるのか
忙しい日々を過ごす中、自分にとって大切なものをふと思い出した時に、セミリタイアを考える人も多いのではないでしょうか。
趣味や好きなことに没頭する、自然の中で子どもとの時間を大切にして過ごすなど、優先したいことを大事にできれば、豊かで理想的な人生になるかもしれません。また今後、働き方や生き方の価値観が多様化していく中で、「定年まで働き続けることだけが選択肢ではない」といった考えの人がさらに増えていくことも予想されます。
しかし、「セミリタイアしたら何をするか」ということが明確になっていないと、せっかく自由の身になっても退屈でつまらない生活を送ることにもなりかねません。それなら仕事を辞めずに長期の休みでよかった…ということにならないよう、セミリタイアする意味をあらかじめしっかり考えておくことも必要そうです。
武藤 貴子
AFP、ネット起業コンサルタント。会社員時代、お金の知識の必要性を感じAFP資格を取得。独立後はネット起業のコンサルとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。
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(提供: DAILY ANDS )
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